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労災保険(労働災害補償保険)ってよく聞く言葉ですが、内容についてはちゃんと理解していないという人も多いのではないでしょうか?

民間の医療保険などを検討する際に、公的保険である「健康保険」や「労災保険」がどの程度補償してくれるのかを知っておくことで、高い医療保険に入らされて無駄なお金を使わされるということもなくなると思います。最低でも労災保険(労働災害補償保険)が「どんな時に適用されるのか」くらいは知っておくと良いでしょう。

健康保険、国民健康保険についてはこちらのページでまとめています。
健康保険があれば医療保険はいらない!?健康保険がどれほど役立つかを知っておこう

まあ、労災は内容的にそこまで難しいものではありませんので、労災についてあまり知ろうとしてこなかった方は軽くでも良いので見てもらえればと思います。

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労災で押さえておきたい5つのポイント

労働災害補償保険を知る際に、ここを押さえておけば大丈夫!というポイントを5つほど解説します。

① 業務中、または通勤中の災害しか補償されない

労災保険は基本的に業務上や通勤途上での負傷、病気、障害、死亡等に対して所定の給付が行われる制度です。一般的に業務上でのケガや病気を「業務災害」と言い、通勤途上の場合は「通勤災害」と言います。

業務上や通勤中以外のケガや病気については労災では保障してくれません。ただし、業務上以外のケガや病気に関しては私たち皆が加入している健康保険・国民健康保険が保障してくれることになっています。

つまり、労災と健康保険の二つによって、私たちの生活上のケガや病気が保障されているということになります。

② 通勤途上の場合、寄り道をすると適用されなくなることも

労災は通勤中のケガや病気、障害、死亡について保障してくれていますが、通勤中であればどんな場合でも保障されるわけではありません。

例えば仕事の帰りにテニスをするためにいつもの通勤ルートから外れて寄り道をした場合、テニス後に通勤ルートに戻って帰宅したとしてもそれは「通勤」とは認められません。

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そうなのです。「日常生活上必要な行為」のために寄り道をした場合を除き、その後に正規ルートに戻っても通勤とは認められないのです。例えば夕食の買い物でスーパーに寄り、その後に通勤ルートに戻って帰宅した場合は「通勤」と認められますが、それがテニスやゴルフなどの趣味のためだった場合は認められないのです。

ただし、買い物のために寄り道している途中に関しては「通勤」とは認められません。あくまで正規の通勤ルートで帰宅している時に限ります。ここは注意しておいてください。

③ 従業員の全てが強制加入しているが、従業員は保険料を払う必要はない

労災は正社員だけでなく、アルバイトやパートの方も入れます。この場合は任意ではなく、全員強制的に加入していることになります。手続きなどは必要なく、保険料は会社が払ってくれているため、自分が労災に入っていることに気付いていない人も多いです。

ちなみに、一人でも労働者を使用している事業ならば加入の義務があるため、事業主の方は忘れずに加入しておきましょう。事業主は保険料を払わなければいけませんが・・。ちなみに保険料率は事業の内容ごとに異なります。

④ 加入できないの人もいる

従業員は基本的に全員加入となっている労災ですが、その会社に関わる人の全てが労災に加入できる訳ではありません。

何故なら、社長や役員、個人事業主などは加入することができないからです。ただし、大工さん(一人親方)や個人タクシー業者等の労働色が強い職種の場合、任意で加入できる「特別加入制度」を利用することができます。(詳しくは労災保険への特別加入 |厚生労働省のページへどうぞ)

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また、家族のみで事業をしている場合は、同居の親族は労働者の対象にはなりませんので、加入することはできません。

⑤ 給付内容

労災の給付には色々な種類があり、病気やケガだけでなく障害・介護・死亡の際にも給付されます。

業務災害
(通勤災害)
内容
療養補償給付
(療養給付)
【病気・ケガ】
労災指定病院等で治療を受けた際、治療費が無料となる。
労災指定病院以外で治療を受けた場合、一旦本人が支払い、後日その現金が支給される。
休業補償給付
(休業給付)
【病気・ケガ】
療養のために仕事を休み、賃金を受け取れない日が4日以上続く時に支給される。
給付金額は給付基礎日額(賃金を平均した額)の6割。
傷病補償年金
(傷病年金)
【病気・ケガ】
療養開始から1年半経っても回復せず、傷病等級1~3級に該当する時に支給される。
等級に応じて給付基礎日額の313~245日分が支給される。休業補償給付の代わりとなる。
障害補償給付
(障害給付)
【障害】
療養後に障害が残った時に支給される。
障害等級が1~7級の時、等級に応じて給付基礎日額の313~131日分が年金形式で支給される。
障害等級が8~14級の時、等級に応じて給付基礎日額の503~56日分が一時金で支給される。
介護補償給付
(介護給付)
【介護】
障害により介護を受けている場合、介護費用として使った金額が支給される。
条件により、上限額などが変動。
遺族補償給付
(遺族給付)
【死亡】
仕事中(または通勤中)に死亡した時に支給される。
条件に応じて給付基礎日額の153~245日分が年金で支給される。
家族がいない場合、給付基礎日額の1,000日分が遺族に支給される。
葬祭料
(葬祭給付)
【死亡】
労働者が死亡して葬祭を行った場合に支給される。
31,5000円に給付基礎日額の30日分を加えた額か、
給付基礎日額の60日分の額のいずれか高い方が支給される。

業務上、または通勤途上で病気やケガなどがあった場合、上記の表のような補償が受けられるようになっています。

【おまけ】会社が労災保険の申請をしてくれない場合・・

会社によってはもしかしたら「このケガで労災申請する必要はない」「ウチは小さい会社だから労災に入っていない」といってくるところもあるかも知れません。

この場合、基本的には従業員を一人でも雇う会社は労災に加入する義務(強制)がありますので、労災に加入しないというのは法律上ではその会社が間違いを犯していることになります。

そのようなことを言う会社はブラックの可能性が高いので色々と交渉は難しいかも知れませんが、「労災は全ての従業員が受けることができる当然の権利」ということは覚えておいてください。必要があればしかるべきところに相談した方が良いかも知れません。

この記事を書いた人

taka
taka
当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索していますので、興味がある方はLINEの方でご質問を。ラーメン、焼肉、テニス好き。

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