60歳~64歳の間で年金が受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」を利用できる方の中で、65歳になるまで年金の請求を遅らせるという方が見受けられます。

せっかく受け取れる特別支給の老齢厚生年金の請求をしないのは、ハッキリ言いますが何かの勘違いのせいかと思われます。基本的に特別支給の老齢厚生年金を受け取ることが何らかのデメリットになることは特にありません。

それどころか請求せずに5年を過ぎてしまうと受け取る権利が消滅して損をしてしまいますので、早いうちに誤解を正し、貰える年金はしっかりと受け取るようにしていきましょう。

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このページの内容

このページでは、以下の順番で情報を載せています。

  1. 「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」による2つの誤解
    • 「特別支給の老齢厚生年金」を繰り上げ受給だと思ってしまっている
    • 「特別支給の老齢厚生年金」を繰り下げれば年金が増額すると思ってしまっている
    • 【豆知識】年金は5年以内に受け取らないと時効によって消滅することに注意!
  2. 【まとめ】年金請求書が来たら素直に請求しておきましょう

それでは、いきます。

「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」による2つの誤解

なぜ、65歳から受け取った方がお得になると誤解するのでしょうか?それは年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」の制度が関係しています。

【繰り上げ受給とは】
繰り上げ受給は60歳~64歳までの間で年金の受け取りを早めて開始することができる制度です。繰り上げた場合は「0.5%×繰り上げた月数」が減額され、その後は一生ずっと減額された年金を受給することになっています。
60歳まで繰り上げた場合は30%減額された年金を一生受給することになります。
年金の繰り上げ受給のメリットとデメリット、請求する前の注意点など
【繰り下げ受給とは】
繰り下げ受給は66歳~70歳までの間で年金の受け取りを遅らせて開始することができる制度です。繰り下げた場合は「0.7%×繰り上げた月数」が増額され、その後は一生ずっと増額された年金を受給することになっています。
70歳まで繰り下げた場合は42%増額された年金を一生受給することになります。
年金は繰り下げ受給した方がお得なの?加給年金・振替加算、遺族年金、障害年金を受け取る場合の注意点など

この2つの制度が、どのような誤解を生んでいるのでしょうか。

「特別支給の老齢厚生年金」を繰り上げ受給だと思ってしまっている

まず一つ目の勘違いが、特別支給の老齢厚生年金を繰り上げ受給だと思ってしまっていることです。

管理人taka管理人taka

特別支給の老齢厚生年金とは、昭和36年4月1日以前生まれ(女性は昭和41年4月1日以前生まれ)で厚生年金に1年以上加入しており、老齢基礎年金の受給資格期間である10年(平成29年8月1日から25年から10年に短縮)を満たしている方が65歳になる前から年金を受け取れる制度のことです。

生年月日により60歳~64歳の間で支給開始年齢が異なりますが、65歳よりも早い段階から年金を受け取れる制度が特別支給の老齢厚生年金です。

ですが、例えば62歳から受け取れる人がいて、その方が「本当は65歳からの受け取りに決まっているはずなのに、こんな早い時期から貰えるのは繰り上げ受給になってしまっているからでは?」と勘違いしてしまったとします。

その人は「このまま受け取ったら年金が減額される・・」と思い込んでしまい、年金請求書が来ても65歳になるまで請求しないのです。このような誤解により、65歳になるまで年金をもらわないケースがあるのです。

ただ、このケースでは65歳に請求すれば62歳からの3年分は全額受け取れるので、金銭的なダメージは特にありません。

注意すべきなのは、繰り下げて年金を増額しようとしている方です。このような方は5年の時効に気を付けなければいけません。

「特別支給の老齢厚生年金」を繰り下げれば年金が増額すると思ってしまっている

年金は繰り下げて受給することで増額されることができます。その繰り下げ受給の制度を利用し、特別支給の老齢厚生年金を受け取らずに年金を増額させようと考える方もいます。これが2つ目の勘違いです。

ですが、この方法には致命的な欠陥があります。それは「特別支給の老齢厚生年金については、繰り下げ支給制度は適用されない」からです。

例えば62歳から貰える年金を65歳まで受け取らなかったとしても、65歳から受け取る年金は一切増額しないのです。先ほども解説しましたが、62歳から65歳までの3年分の年金を受け取るだけです。

それだけでなく、確定申告も修正しないといけないケースが出てくるので、より面倒になってしまうことも考えられるのです。

【豆知識】年金は5年以内に受け取らないと時効によって消滅することに注意!

また、年金を受ける権利が発生してから5年を経過してしまうと、時効によって消滅してしまいます。

例えば62歳から特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生したのに、繰り下げようと考えて67歳以降も放置した場合、5年を過ぎた分の年金に関しては受け取れなくなってしまうのです。

5年以上を過ぎる方は少ないとは思いますが、せっかくの年金受取の権利が無駄にならないようにしたいですね。

【まとめ】年金請求書が来たら素直に請求しておきましょう

特別支給の老齢厚生年金は繰り上げ受給ではありません。また、繰り下げても意味がないため、年金請求書が来たら素直に請求しておくのが正解となります。

この記事を書いた人

taka
taka
当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索していますので、興味がある方はLINEの方でご質問を。ラーメン、焼肉、テニス好き。

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