繰り下げ受給は本来65歳から貰える年金の受け取りを先送りにする代わりに、貰える年金が増額するという魅力的な制度です。寿命の関係で男性の場合はお得になるかどうかは運次第になってしまいますが、女性の場合は高い確率でお得になると思いますので、チェックすべき年金制度の一つとなっています。

ただし、加給年金・振替加算に関しては待機期間中は受け取ることができず、増額もしないという大きなデメリットがありますので、厚生年金に加入していた場合はその点も考慮してから利用するかどうかを決めることをお勧めします。

年金制度はかなり複雑な点が多く、繰り下げ受給に関してもわからない点が多いかと思います。これから繰り下げを検討する方は、良ければこのページを参考にしてみてください。

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このページの内容

このページでは、以下の順番で情報を載せています。

  1. 繰り下げ受給とは
    • 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられる
    • 特別支給の老齢厚生年金については、繰り下げ受給の制度は適用されない
    • 遺族年金・障害年金の受給権が生じた場合は年金の繰り下げはできない
  2. 繰り下げ受給のメリット
    • 平均寿命まで生きた場合、繰り下げしない人よりも累計額が多くなる可能性が高い
  3. 繰り下げ受給のデメリット
    • 加給年金と振替加算は増額がなく、待機期間中は受け取ることもできない!

それでは、いきます。

繰り下げ受給とは

基本的に年金は65歳から受給することになっていますが、実は受け取り年齢を遅らすこともできます。この制度を繰り下げ受給といい、年金事務所で請求することで66歳~70歳までの間で年金の受け取りを開始することができるようになります。

ただこの繰り下げ受給、わざわざ65歳から貰える年金の受け取り時期を遅らせて何になるの?と疑問に思う方もいると思いますが、受け取りを先延ばしにすることで年金が「0.7%×繰り下げた月数」の割合で増額され、その後は一生ずっと増額された年金を受給することができるといったメリットがあるのです。

受給開始年齢 増額率
65歳 100%
66歳 108.4%
67歳 116.8%
68歳 125.2%
69歳 133.6%
70歳 142.0%

例えば受給開始を70歳に繰り下げた場合は、65歳で受給するよりも42%も多くの年金を受け取ることができるようになります。これはかなり高い増額率ですので、多くの方が魅力を感じることでしょう。

ですが、繰り下げ受給のために待機している期間は加給年金や振替加算がもらえないなどのデメリットもありますので、繰り下げ受給の中身をしっかりと把握したうえで利用するかどうかを決めるのが大切かと思います。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられる

昭和17年4月2日以降の生まれの方(女性は5年遅れ)は、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることが可能となっています。

繰り上げ受給では別々に扱うことはできないのですが、繰り下げの場合は老齢基礎年金を繰り下げたからといって老齢厚生年金まで同時にする必要はありません。

特別支給の老齢厚生年金については、繰り下げ受給の制度は適用されない

60歳~64歳までの方が受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」については、繰り下げ支給制度は適用されないので注意してください。

よく「60歳以降の特別支給の老齢厚生年金を受け取らなければ、65歳以降の年金が増えるんだ!」と勘違いされる方がいますが、このケースでは65歳から受け取る年金は全く増えません。

増額の対象となるのはあくまで65歳以降で繰り下げを行った場合に限られます。

また、特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利は5年で消滅してしまいますので、勘違いしたまま5年以上放置しないようにしてください。

遺族年金・障害年金の受給権が生じた場合は年金の繰り下げはできない

65歳から66歳までの間に遺族年金や障害年金などの「他年金の権利」が発生した場合、繰り下げ請求をすることはできません。

また、66歳以降に遺族年金や障害年金などの他年金の権利ができた場合はその時点で繰り下げが強制的にストップします。この場合は

  1. 65歳までさかのぼって年金を一括で受け取り、今後は増額する前の金額で受け取る
  2. この時点までの増額された年金を今後受け取っていく

この2択から選ばなくてはいけません。

つまり、遺族年金や障害年金などの権利が発生した場合、繰り下げを続けることができなくなってしまうのです。

繰り下げ受給のメリット

繰り下げ受給のメリットは「年金が増額されること」です。これにより、長生きすればするほど多くの年金額を受け取ることが可能になっています。

平均寿命まで生きた場合、繰り下げしない人よりも累計額が多くなる可能性が高い

では、何歳まで生きれば、繰り下げしなかった人よりも多くの年金が貰えるのでしょうか?それに関しては以下の表を見ればわかります。(昭和16年4月2日生まれの人用)

受給開始年齢 繰り下げしなかった人より
累計額が多くなる年齢
66歳 77歳
67歳 78歳
68歳 79歳
69歳 80歳
70歳 81歳

日本人の平均寿命は2015年の時点で男性が80.79歳女性が87.05歳という調査結果が出ています。つまり、女性の場合は平均寿命まで生きた場合は繰り下げしなかった人よりもかなり多くの年金を受け取ることができることになります。なので、女性の方は繰り下げ受給の制度は積極的に利用した方がお得だと思います。

問題は男性です。繰り下げ受給を70歳にした場合、81歳にならないと繰り下げしなかった人を累計額で抜くことができません。そして男性の平均寿命は80.79歳なので、70歳受け取りにした場合は損をする可能性の方が少しだけ高いということになります。

そのため、男性の場合は繰り下げ受給を69歳からにしておくと無駄がなくなる可能性が高くなります。ただ、今後はさらに平均寿命が延びると予想されているので、今から60歳になる人は70歳まで繰り下げても特に問題はないのではないか・・とも思っていますが。

いつ亡くなるかを知ることは誰にもできず、実際に得をするのか損をするのかは誰にもわからないですが、もし繰り下げの請求ができるくらい貯金に余裕がある場合は、繰り下げ受給はしておいていいのではないかと思います。ただし、以下で説明するデメリットを考慮する必要がありますが。

繰り下げ受給のデメリット

繰り下げ受給には特に気を付けるべき大きなデメリットがあります。それは加給年金と振替加算に関しては増額することがなく、しかも繰り下げの待機期間中は加給年金と振替加算を受け取ることができないということです。

加給年金と振替加算は増額がなく、待機期間中は受け取ることもできない!

夫が20年以上厚生年金に加入していた場合、夫が65歳になった時点(正確には定額部分支給開始年齢になってからですが、これはちょっと難しいので・・)で、妻に加給年金が支払われます。

そして妻が65歳になった時点で、加給年金は振替加算と名前を変え、支払われることになります。なので妻の方が年上の場合は加給年金はなく、いきなり振替加算を受け取ることになります。

で、この加給年金と振替加算なのですが、繰り下げ受給をするうえでかなり注意が必要になります。なぜかというと、繰り下げ受給の待機期間中は加給年金・振替加算は支給されないという決まりになっているからです。

例えば65歳から加給年金が貰える場合でも、老齢厚生年金の受給を68歳からにした場合は、加給年金も68歳からの受け取りになってしまうのです。

さらに、繰り下げ受給をすると年金は増額されますが、加給年金・振替加算に関しては一切増額されません。つまり、貰わない期間は全くの損になってしまうのです。

これはかなり大きなデメリットになりますので、繰り下げ受給を検討する場合は加給年金と振替加算が受け取れるのかどうかをチェックし、受け取れるのであれば停止する加給年金・振替加算の金額と増額する年金とでどちらがお得になるのかを調べる必要が出てきます。

ここらへんの計算や判断は難しいかと思いますので、市区町村役場やお近くの年金事務所へ行って相談するか、もしくは年金専門のFP・社会保険労務士に聞くといった行動が必要となるかもしれません。

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