健康保険の3割負担分だけでなく、自由診療と先進医療の自己負担分も全額補償してくれるという魅力的な内容をウリにしているセコム損保の「自由診療保険メディコム」とSBI損保のがん保険(自由診療タイプ)。
この2つは補償内容が非常に似ていて、一見しただけでは両者の違いが全く分からないという人も多いかと思われます。
このページではセコム損保とSBI損保のがん保険の違いを解説していきますので、どちらに加入しようか迷っている方は良ければ参考にしてみてください。
両者の補償内容はここが違う!
セコム損保の「自由診療保険メディコム」とSBI損保のがん保険(自由診療タイプ)は以下の点に違いがあります。
■高額療養費の扱い
■がん診断給付金
■自由診療の対応病院
以下、詳しい説明に入りますので、興味がある方は読み進めてもらえればと思います。
保険料が違う
まず第一に、この2つの保険は月々の保険料が明確に異なります。ここは気付いた人も多いのではないでしょうか。
では、どのくらい差があるのか、具体的に表で比較してみたいと思います。
男性の月払保険料の比較表
・保険(払込)期間:5年更新
・入院日額:実費分(先進医療・自由診療も含む)
・がん診断給付金:100万円
契約年齢 | セコム損保 自由診療保険メディコム | SBI損保 がん保険(自由診療タイプ) |
---|---|---|
20歳 | 1,340円 | 890円 |
30歳 | 1,430円 | 1,070円 |
40歳 | 1,930円 | 1,720円 |
50歳 | 4,460円 | 3,500円 |
60歳 | 8,310円 | 7,480円 |
70歳 | 15,550円 | 13,000円 |
女性の月払保険料の比較表
・保険(払込)期間:5年更新
・入院日額:実費分(先進医療・自由診療も含む)
・がん診断給付金:100万円
契約年齢 | セコム損保 自由診療保険メディコム | SBI損保 がん保険(自由診療タイプ) |
---|---|---|
20歳 | 1,510円 | 1,010円 |
30歳 | 1,920円 | 1,560円 |
40歳 | 3,350円 | 2,880円 |
50歳 | 5,460円 | 4,890円 |
60歳 | 6,080円 | 6,230円 |
70歳 | 8,190円 | 7,980円 |
表を見る限り、男女ともにSBI損保のがん保険の方が500円~1,000円くらい安いということが分かります。男性の70歳以降に至っては月々2,500円くらい差が出てしまっているので、長期継続を考える場合はSBI損保のがん保険の方がリーズナブルに利用できるということになります。
ただ、この両者は保険料の高低だけでみると正しい判断は出来ないと思いますので、以下で解説する補償内容の違いをしっかりとチェックしておいてください。
高額療養費の扱いの違い
日本では高額療養費という優れた制度があります。分からない人のために高額療養費について簡単に言うと、一般家庭でひと月での治療費が高額になってしまった場合、最高でも8万円~9万円の範囲で済ますことができるという制度のことです。正直言ってこの制度はかなりありがたいものです。
具体的に数字で言うと、例えば医療費が100万円かかったとした場合、健康保険が適用される私たちは基本的に3割負担で良いため、30万円の支払いとなります。
ですが30万円でもかなり高額ですよね・・。そこで登場するのが高額療養費制度です。この制度により、自己負担額は30万円⇒8万7千円くらいまで下げることができるのです(正確には87,430円)。
で、この差額である212,570円(300,000円-87,430円)が高額療養費という扱いになるのですが、実はセコム損保とSBI損保でこの扱いが違っているのです。
SBI損保は高額療養費制度が適用された状態の87,430円を自己負担分としてみるため、この金額を補償してくれます。これは実費分を補償するというこの保険の特性上、いたって普通の補償内容ということになりますね。
ですがセコム損保は違います。セコム損保では高額療養費制度が適用される前の30万円を自己負担分としてみるため、何と30万円全部を補償してくれるのです。つまり212,570円がまるまるお小遣いのようにいただけるということになるのです。
セコム損保 自由診療保険メディコム | SBI損保 がん保険(自由診療タイプ) | |
---|---|---|
医療費 | 100万円 | 100万円 |
3割負担分 | 30万円 | 30万円 |
高額療養費制度 の自己負担分 | 87,430円 | 87,430円 |
補償される金額 | 300,000円 | 87,430円 |
ガン治療では深刻なものになるとかなり長期の入院となり、月々の治療費もかなり高額になってしまう可能性があります。長期の入院では収入のない生活が続く人もいるため、生活費がかなり厳しくなってしまう家庭もあるかと思います。
そんな長期の入院を想定する場合、セコム損保にしておけば生活費分も補償される可能性があるのです。セコム損保の方が保険料は高いですが、この点を見るとかなりセコム損保に魅力を感じますね。
がん診断給付金の違い
両者にはがんと診断された場合に100万円が給付される補償が付いています。この補償は個人的にがん保険の中でかなり重要だと思っているため、この内容ががん保険の良し悪しを判断する大きな材料になっています。
で、セコム損保もSBI損保もこのがん診断給付金の内容に関してはなかなか良いかと感じています。ただ、内容はパッと見た程度ではかなり似ていると思う人が多いでしょうが、両者の補償内容には明確な違いがあります。
では、どこが異なるのでしょうか。以下の表でそれぞれの特徴をまとめておきましので、違いをチェックしておいてください。
セコム損保 自由診療保険メディコム | SBI損保 がん保険(自由診療タイプ) | |
---|---|---|
給付金額 | 100万円 | |
範囲 | 悪性新生物だけでなく、上皮内新生物も同額補償 | |
条件 | 診断確定の時点でOK(2回目以降も) | |
回数 | 3年に1回を限度に 何回でもOK | 2年に1回を限度に 何回でもOK |
補償の取り外し | 不可 | 可 |
制限の有無 | 気になる点は無し | かなり気になる点がある |
上から見ていくとほぼ同じ内容が続きますが、回数のところから異なってきます。セコム損保のメディコムが3年に1回を限度としているのに対し、SBI損保のがん保険は2年に1回を限度としています。
「じゃあSBI損保の方が条件が良いのでは?」と思うのですが、その結論を下すのはまだ早いです。何故なら、SBI損保のがん保険は2年に1回という好条件ではあるものの、それ以外でかなり気になる(デメリットとなる)支払条件を持っているからです。
では、SBI損保のがん診断給付金の気になる条件とはどのようなものなのでしょうか。それは「最初の受取条件となったがんの治療が2年後も継続していた場合は支払対象外」になるというところです。これだと深刻で長期治療が必要ながんの場合、2回目の給付金が貰えない可能性があるということになります。
また、前回の支払いから2年経過前に新たにがんと診断確定されたものに関しては再発でも新規のがんでも支払い対象外となるのですが、そのがんの治療中に2年経過の時期になったとしても、診断確定されたのは2年経過前ということなので、こちらもがん診断給付金は支払対象外になってしまうのです。
セコム損保のメディコムの方は3年経過して最初のがんが治っていなくても給付の対象になるため、全体的に見るとSBI損保のがん診断給付金はちょっと微妙な感じになってしまいます。ただ、SBI損保の方はがん診断給付金の取り外しが可能となっているため、この補償を無しにして契約するというのも一つの方法としてアリとなってきます(その場合は他のがん保険との併用をお勧め)。
自由診療の対応病院の違い
セコム損保のメディコムもSBI損保のがん保険も自由診療による治療費も補償の対象となっていますが、実はセコム損保の方は「当社が認めた医療機関であること」という条件が付けられています。
当社が認めた医療機関とは、厚生労働大臣により指定を受けている「がん診療連携拠点病院」または「それに準ずる医療機関であると当社が認めた医療機関」をいいます。
それ以外の医療機関で治療した場合、自由診療の治療費は補償の対象外となってしまいます。そのため、セコム損保のメディコムに加入しようとしている場合はその点に注意が必要になるのです。
具体的な対応病院一覧は以下のリンク先から確認できます。近くに対応病院があるかどうか、加入を検討する前に必ずチェックしておきましょう。
⇒平成28年度 がん診療連携拠点病院リスト(398施設)
まとめ どちらが良いのか
ここまで見ていただいた方は「どちらも良い点と悪い点があり、どちらが良いのか判断できない」と感じる方も多いと思います。
では、ここでそれぞれの良い点と悪い点を表で見てみたいと思います。
セコム損保 自由診療保険メディコム | SBI損保 がん保険 | |
---|---|---|
保険料 | SBI損保より高い | セコム損保より安い |
高額療養費の扱い | 高額療養費も含めて補償 (例:30万円) | 自己負担分のみ補償 (例:8万7千円) |
がん診断給付金 | 3年に1回限度だが 内容は良い | 2年に1回限度だが 内容は微妙 (取り外し可能) |
自由診療の対応病院の違い | 病院に制限あり | 制限なし |
以上のように、セコム損保のメディコムとSBI損保のがん保険にはそれぞれ優れている面がありますが、ダメな面もあります。
じゃあどちらが優れているの?という疑問が出てくるのですが、これは正直なところ、人それぞれの選び方で変わってくるため、ハッキリと「こちらが良い!」とは言えないのが現状です。答えを出せなくてスミマセン・・。
ただ、個人的な選び方としては
・他の診断給付金があるがん保険と併用する場合は、SBI損保のがん保険がお勧め(こちらのがん診断給付金は取り外しておく)
・生涯にわたってがん保険はこれ一つの予定なら、セコム損保のメディコムがお勧め
という感じになるかと思います。
ただし、セコム損保のメディコムにする場合は、自由診療の治療費が対象となっている病院が近くにあるかどうかをチェックしておいてください。もしも近くに全然なかった場合は、万が一を考えるとSBI損保のがん保険の方が安心かと思われます。
それぞれの資料は公式サイトはこちらから
⇒がん保険のセコム損保|メディコム
⇒がん保険のSBI損保
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
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