3大疾病で所定の状態になった時に、保険期間満了までずっと年金が受け取れる商品です。
ニュアンス的には「収入保障保険の死亡保障の部分を、3大疾病の保障に変えたもの」という感じの保険で、特定疾病保障保険の部類に入ります。
内容的には悪くないのですが、保険料が高い点に注意してください。特に女性の保険料が非常に高く、若いうちに加入すると男性の2倍近い高さになってしまうため、加入を考える際はしっかりと比較検討する必要があるでしょう。
商品についての相談がしたい場合(または加入したい場合)は、代理店を利用する必要がある点も頭に入れておくと良いでしょう。
押さえておきたい注目ポイント
T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険」の大まかな特徴をサッと知りたいという人向けに、押さえておきたい要点だけをピックアップしました。
- 年金支払いの条件がとても良い
- 女性は若い時でもがんの心配が高いため、この保障があると経済的に安心
- 支払対象外期間がない
- 保険料払込免除のハードルが比較的低い
- 受取方法を選べる
【デメリット・注意点】
- 保険料が高い(特に女性)
- 対象とされる病気の範囲は狭い
- 加入希望の場合、代理店を利用する必要がある
以下、詳しい説明に入りますので、興味がある方は読み進めてもらえればと思います。
働くあなたにやさしい保険の詳細
保険料の例
・年金月額:10万円
・保険期間:65歳
・()内は特定疾病一時金特約を付けた場合の保険料:給付金100万円
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20歳 | 4,070円 (4,640円) | 7,230円 (7,920円) |
30歳 | 5,440円 (6,190円) | 9,960円 (10,870円) |
40歳 | 7,480円 (8,550円) | 11,920円 (13,100円) |
50歳 | 9,760円 (11,470円) | 9,900円 (11,330円) |
※ 上の表は2018年10月現在の保険料です。
給付条件は良いのですが、女性の保険料がかなり高くなっている点は注意しておいてください。
保障内容
項目 | 内容 |
---|---|
契約可能年齢 | 20歳~70歳 |
保険期間・ 保険料払込期間 | 50歳満了~80歳満了 |
特定疾病年金月額 | 5万円以上(1万円単位) |
年金の種類 | ・有期年金(50歳満了~80歳満了) ・確定年金(特定疾病年金支払期間:5年) |
年金の支払事由 | 【がん】 責任開始の日からその日を含めて91日目以後、保険期間中に生まれて初めて所定のがんと診断確定された場合 (上皮内がんは対象外) |
【急性心筋梗塞】 責任開始期以後に発病した疾病を原因として、保険期間中に所定の急性心筋梗塞を発病し、その治療を目的として次のいずれかに該当された場合 ・手術を受けられた場合 ・継続して20日以上の入院をされた場合 | |
【脳卒中】 責任開始期以後に発病した疾病を原因として、保険期間中に所定の脳卒中を発病し、その治療を目的として次のいずれかに該当された場合 ・手術を受けられた場合 ・継続して20日以上の入院をされた場合 | |
主契約 | 【特定疾病年金】 被保険者が特定疾病(所定のがん・急性心筋梗塞・脳卒中)により、所定の状態に該当された場合、毎月特定疾病年金を受け取ることができる |
特約 | 【特定疾病一時金特約】 ・年金の支払事由が発生したときに、一時金を受け取れる ・上皮内がんの場合、特定疾病一時金額の10%を受け取れる |
保険料の払込免除 | ・上皮内がんと診断確定された場合 ・所定の高度障害状態に該当した場合 ・所定の身体障害の状態に該当した場合 以後の保険料の払込が免除される(特約部分を含む)。 |
支払対象外期間 | なし |
払込回数 | 月払、年払 |
払込方法 | 口座振替、クレジットカード |
公式サイト | T&Dフィナンシャル生命 | 働くあなたにやさしい保険 – 仕組み |
メリット部分
年金支払いの条件がとても良い
働くあなたにやさしい保険は、3つの疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)で所定の状態になった時に年金が給付されるという商品です。
所定の状態とは、以下のことを指します。
がん | ・保険期間中に生まれて初めてがんと診断確定された場合 ・悪性新生物(上皮内がんは含まない) ・責任開始の日から、その日を含めて91日目以後から対象となる |
急性心筋梗塞 | ・手術を受けられた場合 ・または、継続して20日以上の入院をされた場合 |
脳卒中 | ・手術を受けられた場合 ・または、継続して20日以上の入院をされた場合 |
例えば30歳男性が年金月額10万円、65歳満了で契約しておいて、35歳になった時にがん(悪性新生物)と診断確定された場合は、以後の30年間ずっと月額10万円を受け取ることができるのです。
合計すると3,600万円となりますので、これは非常に大きいですね。深刻ながんにかかり、治療が数年単位で長引いてしまった場合は数百万円という治療費がかかることも珍しくないですし、仕事を辞めてしまって家計に大きなダメージを受けてしまうこともありますので、若くして深刻ながん(もしくは急性心筋梗塞・脳卒中)になってしまったことを想定するとかなり役立つ保険と見ることが出来ます。
また、病気が治った場合でも、保険期間満了までずっと年金を受け取ることができるようになっています。もし病気の治療に専念するために仕事を辞めてしまった場合でも、再就職までの生活費の助けに出来るのは家計にとっても大きな助けになるかと思います。
女性は若い時でもがんの心配が高いため、この保障があると経済的に安心
男性は60代・70代になってからがんにかかる確率がとても高くなっていきますが、若いうちにかかる確率はかなり低いです。
ですが、女性は若いうちから乳がんや子宮がんにかかる確率が比較的高く、近年では20代~40代という若いうちでも発症するケースが頻発しているため、若いからと言って関係ないと言い切ことはできません。
そのため、働くあなたにやさしい保険は女性にとってはかなり役立つ保険になりえるといえるでしょう。病気になる時期にもよりますが、早い段階で病気になった場合はがん保険や医療保険よりもかなり多くの給付金(年金)を受け取れる可能性があるため、治療費や生活費の面ではかなり心強い存在となってくれるはずです。
ただし、例えば60歳満了で加入したとして、53歳の時に対象の病気になった場合は7年間しか年金を受け取ることができません。年を取ればとるほど備えが薄くなっていく内容になっていることは把握しておきましょう。
また、男性と比べると保険料はだいぶ高くなっているので、加入を検討する際は家計と相談のうえで決めるようにしてください。
それと、子宮筋腫のような良性新生物や、上皮内がんに関しては保障の対象外となっているので、その点には注意しておいてください。
支払対象外期間がない
働くあなたにやさしい保険は就業不能保険に少し似ていますが、正式には「特定疾病収入保障保険」となります。
そのため一般的な就業不能保険で見られる「支払対象外期間」がありません。
支払対象外期間とは、就業不能になってから一定期間(60日間と定めている商品が多い)は給付されないようになっている仕組みのことです。これは基本的に就業不能保険に設定されており、就業不能になったとしても2ヵ月間(60日間)は給付金が貰えないようになっているのです。
ですが働くあなたにやさしい保険はこのような支払対象外期間がなく、3大疾病で所定の状態になったらすぐに年金を受け取ることができます。
確かにこの保険は就業不能保険ではないので支払対象外期間がないのは当たり前という見方にはなるのですが、仕組み的に凄く遠いとも言えないので、就業不能保険を検討している方はこちらの保険もチェックしておくもの良いのではないかと思っています。
保険料払込免除のハードルが比較的低い
働くあなたにやさしい保険は所定の条件になると以後の保険料の払込が免除されるという保障内容となっているのですが、その保険料払込免除になるための要件のハードルがなかなか低くなっており、魅力的な内容になっています。
具体的には、以下の状態になった時に以後の保険料の払込が免除されます。
- 特定疾病年金の支払事由の発生
- 上皮内がんの診断確定
- 所定の高度障害状態
- 所定の身体障害の状態
この中で注目は2番目の「上皮内がん診断確定」です。通常、上皮内がんで保険料払込免除になるような保険はあまり見かけませんので、この点はかなりありがたいと言えます。これにより払込免除のハードルがぐっと下がっています。
ちなみに、1番目の「特定疾病年金の支払事由の発生」ですが、これはこの保険の年金給付の条件となっている3つの疾病で所定の状態になった場合も、保険料払込免除が適用されるというものです。
上でも紹介していますが、年金給付の条件は以下のようになっています。
がん | ・保険期間中に生まれて初めてがんと診断確定された場合 ・悪性新生物 ・責任開始の日から、その日を含めて91日目以後から対象となる |
急性心筋梗塞 | ・手術を受けられた場合 ・または、継続して20日以上の入院をされた場合 |
脳卒中 | ・手術を受けられた場合 ・または、継続して20日以上の入院をされた場合 |
つまり、がんの場合は悪性新生物でも上皮内がんでも保険料は払込が免除されるということになっています。この条件で免除になる商品は他ではほぼ見かけないため、この保険だけのメリット部分といえるでしょう。
受取方法を選べる
この保険は、年金の受取方法として有期年金と確定年金の2つが用意されています。
有期年金は50歳満了~80歳満了が用意されています。例えば60歳満了で契約した場合は、年金受取を開始したのが何歳であろうと60歳までは受け取れることになります。
つまり、30歳で病気になって年金受取を開始した場合は30年間という長期間にわたって年金が受け取れるのですが、57歳で年金受取を開始した場合は3年間しか受け取れないのです。これが有期年金という仕組みです。
対して確定年金の場合、どのタイミングで病気になって年金受取を開始したとしても、5年間のみの受給となります。受け取りを開始したのが30歳からの場合、30歳からの5年間しか受け取ることが出来ないということですね。
ただ、例えば60歳満了で契約して、57歳で対象の病気になったとしても、ちゃんと5年間は年金を貰うことが出来ます。60歳になったからといって支給を打ち切ることはありませんので、そこは安心してください。
若いうちからしっかりと備えたいという場合は有期年金を選ぶのが良いですが、有期年金は保険料が高いため、経済状況が厳しい場合は5年確定年金も合わせて検討すると良いでしょう。
デメリット部分
保険料が高い(特に女性)
この保険は3大疾病で所定の状態になった場合に満期まで年金が貰えるという保障内容となっています。
それ自体は私たちにとって非常にありがたいものではありますが、残念ながら保険料もそれなりの高さとなっています。
【働くあなたにやさしい保険の保険料表】
・年金月額:10万円
・保険期間:65歳
加入年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20歳 | 4,070円 | 7,230円 |
30歳 | 5,440円 | 9,960円 |
40歳 | 7,480円 | 11,920円 |
50歳 | 9,760円 | 9,900円 |
表を見ると分かりますが、男性もそれなりに高いのですが特に女性の保険料の高さが際立っています。
20代から30代くらいまでの時だと男性の2倍近い保険料になってしまっています。確かに女性の場合は若いうちから乳がんや子宮がんのリスクがあるとはいえ、掛け捨てでこの保険料の高さは正直言って加入しにくいレベルといえるでしょう。
また、このような3大疾病時に年金が貰えるという保障は、他の保険でも特約として用意されている場合があります。そしてその方がかなり安い保険料で用意できることもあるため、働くあなたにやさしい保険の存在意義が少し危うくなってしまっていると感じられます。
例えばネオファースト生命の収入保障保険「ネオdeしゅうほ」の特定疾病収入保障特則がほぼ同じ保障内容となっているのですが、この特則保険料は働くあなたにやさしい保険と比べるとかなり安くなっています。
【ネオdeしゅうほの特則との保険料比較】
・年金月額:10万円
・保険期間:65歳
・ネオdeしゅうほは非喫煙者健康体保険料率
加入年齢 | 働くあなたに やさしい保険 | ネオdeしゅうほ (特則保険料) | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
20歳 | 4,070円 | 7,230円 | 2,748円 | 4,826円 |
30歳 | 5,440円 | 9,960円 | 3.677円 | 7,249円 |
40歳 | 7,480円 | 11,920円 | 5,018円 | 8,629円 |
50歳 | 9,760円 | 9,900円 | 6,706円 | ― |
男性・女性ともに、ネオdeしゅうほの特則保険料の方がかなり安いのが分かるかと思います。上記2つの保障内容はほぼ同じですが、急性心筋梗塞と脳卒中の支払要件で少し異なる点があります。
【年金支払いの条件】
働くあなたに やさしい保険 | ネオdeしゅうほ (特則) | |
---|---|---|
がん | ・保険期間中に生まれて初めてがん(悪性新生物)と診断確定された場合 ・上皮内がんは対象外 ・責任開始の日から、その日を含めて91日目以後から対象となる | |
急性 心筋梗塞 | ・所定の手術を受けられた場合 ・継続して20日以上の入院をされた場合 | ・所定の手術を受けられた場合 ・30日以上の労働制限を必要とする場合 |
脳卒中 | ・所定の手術を受けられた場合 ・継続して20日以上の入院をされた場合 | ・所定の手術を受けられた場合 ・30日以上の後遺症が継続した場合 |
入院と労働制限・後遺症は単純に比べられるものではありませんが、日数的にはネオdeしゅうほの方が少しだけ不利な条件となっています。
とはいえ、この違いだけでこれほどの保険料の差が出るのはちょっと考えものと言えるでしょう。
ちなみに、ネオdeしゅうほは主契約の収入保障保険の保険料を足した状態でも、働くあなたにやさしい保険よりも少し高くなる程度です(1,000円前後くらい)。
そのため、3大疾病に加えて死亡保障が欲しい場合は、こちらの保険よりもネオdeしゅうほに特定疾病収入保障特則を付けて加入した方がバランス的には良いかと思います。
ただし、ネオdeしゅうほは健康状態・喫煙状態によっては保険料が高くなってしまうこともあるため、加入を検討する際はそのあたりも考慮して決めていく必要があります。
⇒ネオファースト生命の収入保障保険「ネオdeしゅうほ」のメリットとデメリット、申込み前の注意点など
対象とされる病気の範囲は狭い
この保険は三大疾病(悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中)のみが保障の対象となっています。
その他の保障(死亡保障や医療保障など)は残念ながら付いていませんので、それらの保障が欲しい場合は別の保険も合わせて検討する必要が出てきます。
ただ、保障の範囲が広くない割に保険料が高いため、経済的に余裕がない方は難しい判断を要するだろうと思います。判断に迷う場合は自己判断だけに頼らず、周りの保険に詳しい方や、プロのFPに相談することを検討してみてください。
加入希望の場合、代理店を利用する必要がある
この保険はネットから申し込む場合(または相談する場合)、代理店を利用する必要があります。T&Dフィナンシャル生命の公式ホームページから直接申し込むことはできませんので、その点は覚えておいてください。
代理店の一覧はこちらのページに載っています。
⇒T&Dフィナンシャル生命 | 働くあなたにやさしい保険 – 募集代理店
銀行と保険ショップが主な代理店として用意されています。
基本的には近くの保険ショップを利用するのが良いかと思います。また、保険ショップの中では個人的に保険クリニックが気に入っていますので、もし良ければ利用してみてください。
管理人の最終評価
3大疾病時で入院・失業した場合などの経済不安に備えたい場合は、かなり役立つ保障内容となっています。終身で対応してはいませんが、60歳~80歳くらいまで3大疾病に備えておきたい!という場合に利用価値のある商品と言えるでしょう。
ただし、掛け捨てなのに保険料がかなり高い点には注意が必要です。
タバコを吸わずに健康状態も良い場合は、死亡保障も付いているネオdeしゅうほに「特定疾病収入保障特則」を付加して加入した方が全体的にバランスが良くなるため、そちらの方がお勧めかと思います。そのため、加入を考えている方は両方をしっかりと比較した上で決めた方が良いかと思います。
自分だけで検討するのが難しい場合は、無料の保険相談を利用してみてください。この商品を取り扱っている代理店はこちらのページで紹介されていますので、興味がある方はチェックしておいてください。
ちなみに、個人的にお勧めの代理店は保険クリニックです。
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
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