保険に入るには、申込手続きの時に「健康状態の告知」があります。過去数年間に病歴がないか、現在薬を飲んでいないかなどの質問について告知書に記入します。

この告知が実態と違うと「告知義務違反」となり、いざという時に保険金が受け取れなかったり、最悪の場合契約事態がなくなってしまったりするのです!…と聞くと不安になるかもしれませんが、正しく告知をすれば大丈夫。

ここでは、告知の方法や種類、告知義務違反について、違反をしてしまった時の解決法などについて書いてあります。せっかく入る保険、保険料を無駄にしないためにも告知について一緒に確認していきましょう。

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このページの目次

生命保険も医療保険も、基本的には加入するために健康状態について告知をする必要がある(一部例外アリ)

そもそも何で告知が必要なの?と思いますよね。

保険の仕組みは、加入者みんなが保険料を出し合ってお金を貯めておき、病気や死亡で経済的に困った時にそこから保険金を受け取れる、というものです。

そんな公平なはずの保険に、もし既に病気を患っていたり病気や死亡に繋がるリスクを抱えていたりする方も加入できるとしたらどうでしょうか?

予めリスクを抱えた人ばかりが保険金を受け取り、健康な人との不公平性が出てしまいますよね。さらに、保険金を多くの人にたくさん払わなければならないので、集まった保険料とのバランスがとれず、保険会社が破綻してしまう恐れもあります。

このようなリスクを防ぎ、困っている人に確実に保険金を支払うためにも、病気や死亡のリスクを抱えている人は加入を制限する必要があるのです。

例外もあり

告知はほとんどの保険で必須です。しかし個人年金保険や一時払い終身保険など告知が不要な保険もあります。

どちらも積立金を増やすのが主な目的で、万が一の時の保障を買うのとは目的が少し違うためです。(商品によっては告知が必要なものもあるので、加入時に確認しましょう)

告知の種類、診査の方法について

告知には色々な種類があります。一般的には、申込手続きの際に「告知書」という紙に書いてある質問事項7~8個に「はい」・「いいえ」で答えて記入します。

告知書の質問例

  1. 過去3ヶ月以内に診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか
  2. 過去5年以内に特定の病気で診察・検査・治療・投薬のどれかを受けたことがあるか
    ※特定の病気とはガンや心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、ポリープ、ぜんそくなど多岐に渡ります。
  3. 過去5年以内に、病気やケガで通算して7日以上の入院、または手術をしたことがあるか。
  4. 過去2年以内に健康診断・人間ドッグを受けて「要経過観察」などの指摘を受けたことがあるか
  5. 手足・脊柱・視覚・聴覚・言語・咀嚼などに障害があるか
  6. ≪女性の場合≫現在、妊娠中か
  7. ≪介護保障の場合≫今までに要支援・要介護認定を受けたことがあるか

※保険会社、保険商品によって異なります。

健康状態の他にこれも聞かれる

健康状態以外の点でも聞かれることがあり、それも保険の加入を許可して大丈夫かを判断する材料となります。通常は告知書の記入欄に次の項目を記入します。

  1. 身長・体重(太りすぎていないかをチェック)
  2. 勤務先、職業(スポーツ選手など、ケガや死亡の確率が高い危険職種ではないか)
  3. 年収(保険料が払える収入があるか。0円でも入れる場合もあります)
  4. 他の保険会社での保険加入額(過剰に保険金をかけていないか)

告知書以外の申請方法もある!?

健康状態の告知は、告知書に記入する他にも方法があります。

例えば保険金額が高額な場合や、保険に加入する方が高齢の場合などです。これらの場合はより慎重に判断をしないと、多額の保険金を支払う可能性がある人を大勢抱えることになり、通常の加入者との不公平性が出ます。

そして多額の保険金を多くの人に支払うことになり、保険料とのバランスが崩れて保険会社が破綻する可能性があります。

このような場合、以下の表のような告知方法をとることがあります。

告知方法具体的なやり方
健診書扱い告知書に記入の上、健康診断の結果票コピーを一緒に提出します。
面接師扱い告知書に記入の上、生命保険面接士(健康確認をする専門の人。生命保険協会の試験を受けて認定)と面談をします。面談では健康状態や外観をチェックしてもらい「診査報状」を提出します。
医師扱いお医者さんの診査を受けながら告知書を記入してもらいます。お医者さんには、保険会社の職員である「社医」と保険会社が委託している「嘱託医」の2種類があります。

どの方法をとるかは、保険種類、年齢、保険金額等によって異なります。

告知義務違反をした場合、どのような処置が待っているのか

もし告知の内容が正しくなかった場合は「告知義務違反」となり、場合によっては保険金や給付金が受け取れなかったり、最悪の場合保険契約自体がなくなり、払った保険料が戻ってこなかったりする場合もあります。

「告知義務違反」は例えばガンになったのを隠して告知をするという意図的なものから、お医者さんに処方された薬を服用しているが告知を忘れた、といううっかりミスまで広く当てはまります。

仮に告知違反義務をして加入を続けられていても、いざ保険金や給付金の請求をすると保険会社が調査をするのでその時点で発覚します。せっかく入る保険、そのような理由で保険料をムダにしないためにも「ありのまま」の告知内容を「正確に漏れなく」記入するようにしましょう。

もし内容がすぐに思い出せない場合や記憶が定かでない時は無理に記入をせず、一度確認をしてから記入しましょう。

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保険会社や代理店の営業担当さんに口頭で説明をしても告知をしたことにはなりません。加入者以外の代筆もできません(家族も×!)。本人が所定の用紙にきちんと記入しましょう。

告知がいらない病気や症状

  • かぜやインフルエンザが完治している
  • 健康増進目的の市販のビタミン剤やサプリメントの服用
  • 花粉症、水虫、虫歯など
  • お医者さんの処方を受けていない市販薬(かぜ薬・胃腸薬など)の服用
  • お医者さんの診察を受けずに完治し、現在その症状がない場合

上記のような、よくある病気や症状は告知が必要ないケースもあります。ただし、保険会社によって規定が違うので申込前によく確認しましょう。

病歴があると保険に入れないの…?

…と思われる方も多いですがご安心を。病歴があると即入れない訳ではないので諦めないでください。

「特別条件」といって条件付で保険に加入できる場合もあります。

【特別条件の種類】

種類内容
保険金削減加入から1~5年など一定期間、保険金が減る。
 例)1年目70%減→2年目40%減→3年目10%減…
保険料割増し加入から全期間、保険料が割増になる。
 例)保険料3,000円→30%割増で3,900円になる
部位不担保加入から1~5年間、体の特定の部位に対して給付金が出ない。
 例)大腸ポリープ歴あり
→大腸・直腸の病気には2年間給付金が出ない
特定障害不担保加入から全期間、特定の障害に対して高度傷害保険金が支払われない、且つ保険料払込み免除が受けられない。
 例)緑内障の治療中
→両目が見えなくなっても高度障害保険金が支払われず、保険料払込免除にもならない

「健康な人と同じように無条件で加入はできないけれど、加入を断るほどでもない」といった時に特別条件が付きます。どの条件がどう付くかはケースバイケースです。

※上記の例はあくまでも例です。保険会社や加入条件によって違うので、加入時に確認しましょう。

もし告知義務違反をしてしまったら、どのような対処をすべきか

もし後から告知忘れに気づいた場合でも「追加告知(告知訂正)」ができるので安心してください。

加入手続きをした保険会社、または保険代理店の営業担当さんに速やかに連絡をしましょう。

ただし、追加告知をするとその告知内容によっては上でお話した「特別条件」に当てはまり、保険金削減や保険料割増などになる可能性もあります。場合によっては保険契約自体がなくなる可能性もあります。

だからといって追加告知をしないと、保険金や給付金が受け取れない、保険契約自体がなくなり払った保険料が戻ってこないという可能性があり、せっかく入った保険が意味を成さなくなってしまいます。

告知忘れに気づいた時は正直に追加告知をしましょう。

違反をしないために気を付けておくべきこと

まず一番大事なのが「事実と違う告知はしない!」です。

告知書に病歴や健康診断結果を事細かに書くのは何となく気が乗らない、恥ずかしいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし年齢性別問わず、病気やケガで告知事項に該当する方は結構多いものです。保険会社や保険代理店の営業職員さんも慣れているので、正直に告知をしましょう。

病歴については次の8点をあらかじめ控えておくとスムーズです。

  • 病気やケガの名前、部位、検査名
  • 診察、検査、治療、投薬の期間(○年○月~○年○月)
  • 入院時期、期間
  • 手術時期、手術名、部位
  • 原因、治療内容、検査結果、経過など
  • 現在の結果(治療中、経過観察、完治のいずれか)
  • 完治時期
  • 受診した医療機関名

もし手元に記録がない、覚えていない、などの場合は受診した医療機関に問い合わせましょう。

また、過去2年以内の健康診断で「経過観察」~「要治療」のいずれかに該当した場合は、健康診断の結果票も準備しておきましょう。結果票を元に数値を記入する場合があります。

持病を持っている方向けに、引受基準緩和型の保険もある

もし告知の結果、目当ての保険に加入できなかった場合でも他の手立てがあります。「引受基準緩和型保険」(以下「緩和型保険」)へ加入する方法です。

テレビCMや広告で「持病があっても入れる保険」などのフレーズを見聞きしたことがあるかもしれませんが、それが「緩和型保険」にあたります。

メリット

告知項目が少ないので病歴がある方でも加入しやすい

例えば、次の3つに該当しなければ加入できる会社もあります。

  1. 過去3ヶ月以内に入院、手術、検査をすすめられたか
  2. 過去2年以内に特定の病気で入院したか
  3. 過去5年以内に特定の病気で診察、検査、治療、投薬を受けたか

告知項目は保険会社によって違うので、加入を検討する際はよく確認しましょう。

デメリット

加入してから1年間は保険金が半分になる

ほとんどの緩和型保険は加入から1年間は、保険金や給付金の金額が半分になります。

やはり持病がある方は健康な方に比べて保険金や給付金を支払う可能性が高いので、まだ保険料をほとんど払っていない1年目は保険金や給付金を半額にすることでリスク調整を行っています。

※現在、1年目から保険金や給付金を半額ではなく満額出してくれる保険もいくつか出ています。

通常の保険に比べて保険料が割高

上記の「加入してから1年間は保険金が半分になる」と理由は同じで、持病がある方は健康な方に比べて保険金や給付金を支払う可能性が高いので、保険料が通常の保険より割高になっています。

まずは通常の保険で加入できるかチェックし、難しい場合は緩和型保険を検討しましょう。

付けられる特約の数が少ない

通常の保険に比べて、付加できる特約の数が少ない場合が多いです。

例えば医療保険なら「ガン一時金特約」や「保険料払い込み免除」など通常の保険によくある特約も緩和型保険の場合付けられないことが多いので、注意しましょう。

緩和型保険も加入できない場合は?

緩和型保険も告知上加入できなかった場合は、最終手段として「無選択型保険」があります。告知がなく誰でも入れる保険ですが、3つ注意点があります。

  1. 通常の保険と比べて保険料が割高
  2. 保険金や給付金の限度額が低い(数百万円程度)
  3. 一定期間内(加入後2年間など)に病気で死亡した場合は、死亡保険金額ではなく払った保険料相当額が支払われる。(ケガで死亡の場合には死亡保険金が支払われる)

また「個人年金保険」「一時払い終身保険」も告知なしで加入ができます。

どちらも積立金を増やすのが主な目的で、万が一の時の保障を買うのとは目的が少し違うためです。(商品によっては告知が必要なものもあるので、加入時に確認しましょう)

保障より貯蓄を主な目的とされている方は、こちらを検討されると良いでしょう。

この記事を書いた人

mayu
mayu
東京都在住。現役の保険営業ウーマンとして個人のお客様から保険相談を受けています。ファイナンシャルプランナー2級。趣味は都内お散歩とカラオケ(目標は演歌マスター)

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