このページでは、火災保険の契約前に確認しておきたいことや知っておきたいことをまとめています。
保険金額の設定方法や保険期間の決め方、いざという時の保険金の請求方法や保険会社が破綻した時の流れなどについて書いていますので、加入してから「こんなつもりじゃなかった」とならないように、事前にチェックしておきましょう。
このページの中身
■目次
【契約時のポイント】保険金額は新価で設定しよう!
火災保険では、まず保険価額(建物の評価額)を決めますが、設定方法は次の2種類があります。
- 再調達価格(新価)・・・同等のものを新たに購入・建てるのに必要な額(新築の購入価格等)
- 時価・・・新価から経年消耗した分の価値を引いた額(現在の価値)
そしてこの保険価額を元に、保険金額(支払われる保険金の上限額)を決めます。
建物が全焼したとして、新価と時価で保険金の支払われ方がどう違うのかを見てみましょう。
新価 | 時価 | |
---|---|---|
契約時 | 保険金額 2,000万円 | |
年数経過 | 経年による 価値の減少・消耗 | |
20年後の価値 | 2,000万円 同等の家を建てるのに必要な金額 | 1,500万円 経年消耗した分の価値を引いた金額 |
全焼した場合の 支払保険金額 | 2,000万円 同等の家を建てられる | 1,500万円 同等の家を建てると500万円自己負担 |
新価で契約していれば、「被害が出たその時に、同等の建物を新しく建て直すのに必要な金額」を出してくれるのでしっかり補償が受けられます。
対して時価で契約していると、新価から経年消耗分を差し引かれるので、十分な保険金が受け取れず、不足分は自己負担となってしまいます。
時価契約だと保険料が抑えられるメリットがありますが、いざという時に十分には役に立たない可能性があるので、新価で契約することをお勧めします。
保険金は全額支払われるわけではなく、被害状況に応じて決まる
では、例えば新価で「建物の保険金額2,000万円」で契約していたとして、損害が出たらどんな状況でも2,000万円が出るかというと、そうではありません。
建物の被害割合が家全体の50%程度と判断されれば、2,000万円×50%=約1,000万円が出ますし、それほど被害がなく5%程度であれば2,000万円×5%=約100万円になります。
全損扱いで全額2,000万円出るのは、「焼失・損壊・流失した部分が延床面積の80%以上」または「損害額が再取得費用の80%以上」のときです。つまり、建物の8割以上がなくなってしまったか、なくなったのは8割未満でも元通りに直すのに保険金額の8割以上(この場合だと1,600万円以上)かかるときです。
では、実際には2,000万円の建物だけれど保険金額4,000万円で契約をして、もし全損したら4,000万円出るのか?と思う方もいるかもしれませんが、そんなおいしい話はありません。
そもそも保険価額(保険金額)は、建物が建っている場所(都道府県)、構造、築年数、耐火構造かどうか、等によって決めますが、購入価格と同等程度にするのが一般的です。
もし購入価格を大幅に上回る金額で契約していた場合、たとえ全損でも上回る部分は支払われません。その分保険料も無駄になってしまうので、欲張らずに適切な金額で契約することが大切です。
長期と短期ではどちらで契約したほうが良いか
これは長期での契約をお勧めします。長期とは5年~10年を指します。逆に5年未満は短期契約になります。
長期契約
長期契約のメリットは…
- 短期より保険料が安くなる
- 頻繁に更新手続きをしなくて良い
- 今後、火災保険料や地震保険料の改定があっても保険期間中なら保険料は上がらない
- もし途中で解約しても未経過分の保険料は戻ってくる
何より保険料が抑えられるのが最大のポイントです。スーパーの買い物でもまとめ買いなら安くなるのと同様、保険もまとめて払うと安くなります。
さらに、火災保険・地震保険とも昨今の災害の多さや地震発生リスクの上昇により、今後は保険料の全体的な値上がりが予定されています。(火災保険は2019年中、地震保険は2019年1月。※地域や条件によっては安くなる場合もあります)
この先10年でさらに上がる可能性も否めません。しかし、保険期間中は契約時の保険料が適用されるので、今のうちに長期契約を結んでおけば保険期間が終わるまでは現在の保険料で継続できます。
長期契約のデメリットは…
- 更新がだいぶ先になるので火災保険を見直すきっかけがない
- 補償内容を忘れやすい
- 保険料の未払いが続くと、保険金支払い時に全額支払われない場合がある
- 今後、火災保険料や地震保険料が改定で値下がりする場合は、保険期間満了まで高い保険料になる
(途中で解約すると未経過分の保険料は戻ってきますが、未経過分全てが戻ってくるわけではありません)
もしかしたら満了までの間に改定があって値下がりするかも知れませんが、そもそも長期契約した場合は短期よりも割安になっているはずなので、改定による値下がりを考慮しても長期の方がお得になる可能性があります。
ということなので、途中で解約する場合以外はあまり大きなデメリットではないでしょう。
短期契約
短期契約のメリットは…
- 火災保険の見直しをしやすい
- 補償内容を忘れにくい
例えば、「保険料を抑えたくて水災補償を外して契約したけれど、ニュースで豪雨被害を見て不安になり水災補償をつけたくなった」といった場合は、更新の時に補償内容を変えられるので短期契約の方が見直しやすくて良いでしょう。
火災保険は基本的に保険期間中に補償範囲(基本の補償)を替えることができないので、長期契約の場合は途中で解約するか保険期間が終わるまで待つ必要があります。
ただし、費用の補償や特約は途中で付けられる場合もあるので、気になる方は保険会社に問い合わせてみてください。
短期契約のデメリットは…
- 長期契約と比べて保険料が割高
- 保険料の未払いが続くと、保険金支払い時に全額支払われない場合がある
といった点です。やはり保険料が割高になるので短期を選ぶ方は少ないようですが、火災保険も新しい商品が発売されたり料率や規定が変わったりするので、都度対応していきたい方にはお勧めです。
給付請求から保険金受け取りまでの流れ
もし家に被害が出てしまったらどうしたらよいのでしょう!?
請求時のイメージができていると加入手続きの際も安心なのでチェックしていきましょう。
①保険会社に連絡をする
まずは保険会社に連絡です。もし先に自分で修理をしたり修理業者へ連絡をして修理が進んでしまうと、正しく被害鑑定ができず、保険金が支払われない可能性があるので注意してください!
保険会社の連絡先は保険証券に記載されていますが、分からない場合はネットで「保険会社名 火災 請求連絡」等で検索すると出てきます。
電話口ではオペレーターさんに被害日時や状況を聞かれるので簡単に答えましょう。この段階ではあくまでも書類を貰うのが目的です!変に事故の詳細を話そうとすると、もしうまく伝えられなかった場合に「補償の対象外」だとか「保険金が出てもわずか」と言われて、後の請求手続きに手間取る可能性があります。
尚、自然災害が原因で広範囲に被害が及んでいる場合には請求が殺到するので、対応に時間がかかることもあります。電話連絡は早めに行うのが良いでしょう。
②必要な書類を揃える
請求に必要な書類を揃えましょう。何が必要かは保険会社から指示があるので安心してください。大体次に挙げるものを準備すればOKです。
- 保険金請求書(保険会社から送られてくる)
- 修理見積書(工務店や専門業者に依頼する)
- 罹災証明書(役所に申請)
- その他事故の確認が可能な書類(盗難などの場合は警察署が発行する証明書)
- 被害写真(自分で撮るか修理業者に撮ってもらう)
- 印鑑証明書(役所に申請)
- 契約者の確認書類(戸籍謄本、登記簿謄本など)
③鑑定人の現地調査
損害が小規模の場合は被害写真で判定する場合もありますが、状況によっては保険会社から鑑定人が来て、被害を直接見て判定します。
④保険金が支払われる
鑑定人の判定と必要書類、保険の契約状況を確認して支払う保険金額が決められます。
保険金は契約者の口座に振り込まれます。もし支払われる金額に納得ができない場合は異議申し立てを行うことができます。
火災保険は事故が起きてから3年以内なら請求ができます!3年を過ぎると請求できなくなるので注意してください。
損害保険会社が破綻したことも。その場合はどうなる?
もし火災保険を契約した後に、その保険会社が破綻してしまったらどうなってしまうのか、心配ですよね。
でも安心してください。日本で損害保険業を行う会社は全て「損害保険契約者保護機構(以下、保護機構)」という団体に所属をしていて、もし破綻してしまった場合に契約が消滅しないように補償をしてくれるシステムになっています。
①どうやって補償してくれるの?
保護機構が、破綻した保険会社の契約を預かってくれる「救済保険会社」を探します。
- 「救済保険会社」があった場合
保護機構は「救済保険会社」に資金援助をし、契約が問題なく引き継がれるようにします。 - 「救済保険会社」がなかった場合
保護機構が破綻した保険会社に直接資金援助をします。その後、保護機構自体か、保護機構によって子会社としてたてられた会社が契約を預かります。
②誰でも補償されるの?
契約者が個人・従業員数20人以下の小規模法人・マンション管理組合なら保護機構の補償対象です。
③全額補償されるの?
保険の種類と、事故が起こった時期によって変わります。
保険種類 | 保険金 | 解約返戻金・満期金など |
---|---|---|
火災保険 | 破綻後3ヶ月間は補償割合100% その後は補償割合80% | 補償割合80% |
地震保険 | 補償割合100% |
火災保険は、破綻後3ヶ月の間に起きた事故については100%(破綻していないときと同じように)支払われます。しかし3ヶ月経過後は補償割合が80%に減ってしまうので、他社の火災保険に乗り換えるのが良いでしょう。
乗り換える場合でも3ヶ月間は猶予期間がある(その間は補償割合が減らない)とも考えられるので焦らずにすみますね。
ちなみに自動車保険も、加入が義務付けられている「自賠責保険」は「地震保険」と同じで100%、任意加入の自動車保険は「火災保険」と同じで破綻後3ヶ月間は100%、その後80%の補償になります。
④他に注意しておきたいことは?
加入する方は少ないですが、火災保険には掛捨てではなく積立できるものもあり、保険期間終了時に満期金が
受け取れるようになっています。破綻した時にはその時の金利を参考に予定利率が見直されるので、場合に
よっては利率が下がり、満期金が補償割合80%になる上に更に受取金額が下がる場合があります。
最後に
近年は全国各地で自然災害が多発しているので、「うちは大丈夫」と思っていても、突然災害に見舞われる可能性があります。
特に水害と地震は予測していなかった地域で大被害をもたらすケースが増えています。火災保険に加入中の方は今一度見直しを、これから加入される方は後で後悔のないよう補償を十分にしておくことをお勧めします。
この記事を書いた人
- mayu
- 東京都在住。現役の保険営業ウーマンとして個人のお客様から保険相談を受けています。ファイナンシャルプランナー2級。趣味は都内お散歩とカラオケ(目標は演歌マスター)
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