多かれ少なかれ、誰もが年金生活に不安を抱えてるものですが、その不安の元となっているものの一つは「お金」です。
そのため、年金受給額を増やすことができれば、年金生活での不安を一つ和らげることができるといえます。
このページではそんな悩みの一つである「年金生活時の収入金額」を増やす方法をいくつか載せています。個人事業主の方、会社員の方の年金を増やす方法をご紹介していますので、興味がある方はチェックしてみてください。
また、老後の資金を増やすお勧め方法も載せていますので、そちらも併せて参考にしていただけたらと思います。
このページの内容
このページでは、以下の順番で情報を載せています。
- 付加年金を利用しよう(自営業)
- 年金加入期間が40年に満たないなら国民年金に任意加入しよう(自営業・サラリーマン)
- 60歳以降も厚生年金に加入し、年金を増やすことも可能(サラリーマン)
- 繰り下げ受給もお勧めだが、会社員の方は注意が必要!(自営業・サラリーマン)
- 老後の資金を増やす2つの方法
- 個人型確定拠出年金(イデコ)を利用しよう!(自営業・サラリーマン)
- 小規模企業共済もかなり節税できます(自営業)
それでは、いきます。
付加年金を利用しよう(自営業)
最も簡単で、かなり割の良い年金を増やす方法として紹介したいのが「付加年金」を利用することです。
- 国民年金保険料に月額400円を上乗せする(任意)
- その結果、「200円×付加年金保険料の納付期間」が老齢基礎年金に加算される
国民年金保険料に月400円を上乗せして払うことで、払った総額の半分を毎年受け取れるというシステムが付加年金です。
例えば付加年金400円を20年間支払った場合は総額96,000円を払うことになりますが、その半分である48,000円が年金に上乗せされるのです。つまり2年で元が取れて、その後はずっとお得になるというありえない仕組みとなっています。
これ、利用しない手はないです。これほどお得な金融商品はどこの金融機関でも売っていません。国民年金に加入している第1号被保険者なら誰でも付加年金を利用することができますので、今すぐお住いの市区町村役場で手続きをすることをお勧めします。
ただし、会社員(公務員)の方、そしてその扶養である第3号被保険者の方は利用することができません。また、国民年金基金との同時加入もできません。
付加年金に関してはこちらのページでより詳しく解説しています。
⇒付加年金は2年で元が取れる超お得な制度!概要・申込み方法などを解説
年金加入期間が40年に満たないなら国民年金に任意加入しよう(自営業・サラリーマン)
国民年金は20歳から60歳までの40年間加入し続けると老齢基礎年金が満額になります。
もしも個人事業主の方で、60歳の時点で国民年金の支払期間が40年に満たない場合は、60歳~64歳の間で加入できる「国民年金の任意加入制度」を利用することができます。
この任意加入制度を利用して被保険者になることで、40年に満たない期間を埋めることができるのです。
基本的に平均寿命まで生きた場合、任意加入制度で支払った国民年金保険料の2倍以上の老齢基礎年金を受け取れるため、国民年金の加入期間が40年に満たない方はできるだけ利用した方が良い制度となっています。
ちなみに、この任意加入制度はサラリーマンの方でも利用できます。サラリーマンの方の多くは大学卒業者で、22歳、23歳あたりから働き始め、厚生年金に加入するのが基本です。
そのため、20歳~22・23歳の時は学生期間だったため、国民年金保険料を払っていないケースもあるのです。
そのような場合、60歳で定年退職すると年金加入期間は37・38年になってしまうため、空白の2・3年を埋めるために60歳~64歳の間で任意加入制度の被保険者になることもできます。
任意加入制度に関してはこちらのページでより詳しく解説しています。
⇒国民年金の任意加入制度は利用すべき?貯金するよりも2倍以上お得になるので迷わず活用しよう
60歳以降も厚生年金に加入し、年金を増やすことも可能(サラリーマン)
60歳以降も継続して会社員(またはフルタイムのパートなど)として働く場合は、そのまま厚生年金に加入し続けることになります。
この場合は国民年金の任意加入制度は利用できませんが、経過的加算として相当分が貰えるようになるので、60歳以降も厚生年金に加入し続けることで、年金額を増やすことができるようになっているのです。
厚生年金は70歳まで入れる形になっていますので、60歳を過ぎてもまだまだ働ける!という方はそのまま働き続けるのが良いかと思います。
年金生活に入ってずっと家にいても、居場所がなくてストレスを感じるという話もよく聞きます。逆に働いていた方が適度にメリハリができ、生きがいもあるのでストレスを溜めないという場合もあります。どちらが良いのかは人それぞれですが、年金額の観点からみると働く続けた方が良いですね。
ただし、60歳以降は一定の年齢に達すると老齢厚生年金をもらい始めるのですが、実はフルタイムで働いた給料と合わせて老齢厚生年金がすべて貰えるという訳ではなく、収入に応じて年金額がカットされる仕組みになっています。
このカットされて支給される年金を「在職老齢年金」といいます。
働きすぎて多くの給料をもらっても、この在職老齢年金が減ってしまうことになりますので、あくまでも適度に働くのがベストといえるでしょう。
繰り下げ受給もお勧めだが、会社員の方は注意が必要!(自営業・サラリーマン)
繰り下げ受給は、本来65歳から貰える年金の受け取りを先送りにする代わりに、貰える年金が増額するという制度です。年金事務所に請求することで、66歳~70歳までの間で年金の受け取りを開始することができます。
で、この繰り下げ受給ですが、具体的には受け取りを先延ばしにすることで「0.7%×繰り下げた月数」の割合で年金が増額され、その後は一生ずっと増額された年金を受給することができるという仕組みになっています。
受給開始年齢 | 増額率 |
---|---|
65歳 | 100% |
66歳 | 108.4% |
67歳 | 116.8% |
68歳 | 125.2% |
69歳 | 133.6% |
70歳 | 142.0% |
70歳まで繰り下げると、結果的に年金額が42%も増額されるのです。凄いですよね!
ですが、ここで「繰り下げなかった人と比べて、何歳からお得になるの?」疑問が生じるかと思います。これに関しては以下の表をご覧ください。
受給開始年齢 | 繰り下げしなかった人より 累計額が多くなる年齢 |
---|---|
66歳 | 77歳 |
67歳 | 78歳 |
68歳 | 79歳 |
69歳 | 80歳 |
70歳 | 81歳 |
日本人の平均寿命は2015年の時点で男性が80.79歳、女性が87.05歳という調査結果が出ています。つまり、女性の場合は平均寿命まで生きた場合は繰り下げしなかった人よりもかなり多くの年金を受け取ることができることになります。なので、女性の方は繰り下げ受給の制度は積極的に利用した方がお得だと思います。
男性に関しては損になるか得になるかはその人の寿命次第という感じになります。70歳まで繰り下げた場合は半々くらいの確率といったところでしょうか。
基本的には長生きすればするほどお得になるので、特に女性の方は積極的に検討していきたい制度といえます。
会社員の方には微妙か・・
なかなか魅力的な繰り下げ受給ですが、会社員で厚生年金に加入している人にとっては特に魅力を感じないかもしれません。
その理由は
- 加給年金と振替加算は増額がなく、待機期間中は受け取ることもできない
- 特別支給の老齢厚生年金については、繰り下げ受給の制度は適用されない
という点にあります。たぶん、何のことかわからないという方が多いと思いますが、サラリーマンの場合は自営業の人と比べて繰り下げ受給のメリットがかなり低いということを知っておいてください。
繰り下げ受給に関しては以下のページで詳しく解説しています。
⇒年金は繰り下げ受給した方がお得なの?加給年金・振替加算、遺族年金、障害年金を受け取る場合の注意点など
老後の資金を増やす2つの方法
個人型確定拠出年金(イデコ)を利用しよう!(自営業・サラリーマン)
大事な老後の年金を自分で用意するために用意された制度が「確定拠出年金」です。確定拠出年金には会社で入れる「企業型」と「個人型」の2つがあり、ここでは個人型確定拠出年金(イデコ)の紹介となります。
このイデコ、何がいいのかというと
- 掛け金が全額控除なのでかなりの節税になる
- 運用収益は複利で増え、さらに運用収益が非課税
- 引き出す時に税金がかかるが、こちらも優遇されている
- 掛け金は自由に変えられる
などのメリットがあります。
ただし、確定拠出年金は投資信託の運用商品の中から自分で選択して運用する仕組みになっています。ほぼ投資のような性質を持っているため、商品選びが素人ではかなりわかりにくいことと、運用次第で預けたお金がマイナスになってしまう可能性もあるのが痛いところです。
ですがそのデメリットを差し引いても「掛け金の全額控除」が非常に大きいので、利用する価値は十分にあるかと思っています。
掛け金の全額控除がどのくらいの価値があるかについては、以下の計算を見ればわかるかと思います。
- 1年間の掛金は3万円×12ヶ月=36万円
- 年収500万円の人の所得税は10%。住民税も10%。取られる税金は20%
- 36万円が全額所得控除される
- 36万円×20%=1年間だと7万2千円ものお金を毎年払わなくて済む!
- 60歳まで掛金を払うと、7万2千円×30年間=216万円も払わなくて済む!!
- 年収が高い人ほど所得税率が高くなり、さらに有利になる
月に3万円の掛け金でもこれほどのメリットを生み出してくれるのです。自営業の場合は最大で月に6万8千円まで掛け金を増やせることを考えると、この分だけは無駄遣いせずに毎月確保しておきたいという気になりますよね。
また、サラリーマンの方でも会社が企業型確定拠出年金を導入していない場合、個人型のイデコに加入することができるようになっています。自営業の場合とは違って月の掛け金は2万3千円が上限となっていますが、それでもメリットを考えると利用しておくことをお勧めします。
2017年1月からは企業年金があるサラリーマンの方や公務員、主婦の方もイデコを利用できるようになりましたので、是非とも気軽に利用を検討してみてください。
個人型確定拠出年金(イデコ)に関してはこちらのページでより詳しく解説しています。
⇒個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のメリットとデメリット、初心者が確実に押さえておきたい基本情報をまとめました
小規模企業共済もかなり節税できます(自営業)
上の個人型確定拠出年金(イデコ)と同様、小規模企業共済も掛け金が全額控除なのでかなり節税が期待できます。こちらは掛け金を7万円まで設定できるので、イデコと併用してリスクヘッジをしておくのが良いかと思います。
自営業の方は個人年金保険に加入するよりは断然こちら(小規模企業共済)に加入することをお勧めします。
また、イデコと同様、引き出す際に税金がかかりますが、一括受け取りは「退職所得扱い」となり、分割受け取りの場合は「公的年金等の雑所得扱い」となり、どちらを選んだとしてもかなり税金を抑えることができます。
さらに積み上げた掛金の範囲内で貸付してくれるため、万が一経営が厳しくなった時にも役立ってくれます。
このようにかなり役立つ仕組みになっている小規模企業共済ですが、加入できるのは個人事業主であり、サラリーマンの方は加入できないのが残念なところです。
小規模企業共済に関してはこちらのページでより詳しく解説しています。
⇒小規模企業共済のメリットとデメリット、申込み前の注意点など
年金生活が不安な方はプロのFPに相談を
国民年金だけの場合はもちろんですが、厚生年金を受給できる方でも将来の年金生活に不安を感じる方も少なくありません。そんな不安を何とかしたい方は、無料の保険相談サービスを利用し、お金のスペシャリストであるFPに相談してみることもお勧めです。
お勧めの保険相談サービスについては以下のページでまとめていますので、興味がある方は見ておいてください。特に1位にランクしている「保険見直しラボ」は非常にお勧めですので、質の良いベテランFPを探している方はチェックしておくことをお勧めします。
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
保険契約を検討される際には、契約概要を必ずご確認下さい。
保険を探している方はこちらへどうぞ
スポンサーリンク