海外旅行へ行く際に海外旅行保険に入っておいた方が良いのは間違いないですが、「実際に事故に遭う確率が凄く低いんだったら加入しなくても良いんじゃないか、お金も無駄だし・・」と思う方もたくさんいることでしょう。
そこで気になるのが「海外旅行中の事故発生率」や「海外の治療費」です。これが高いようであればリスクも高くなるので、数千円程度の保険料であれば出しておいた方が良いと判断できます。
このページではそれらの実際のデータを元に保険の必要性などを解説していますので、海外旅行保険に加入しようかどうか迷っている方は見ていっていだけると幸いです。
海外旅行中の実際の事故データ
参考としたのは、ジェイアイ傷害火災保険株式会社が発表している2015年度(2015年4月~2016年3月)の海外旅行保険事故データです。(引用:トラブルデータ|ジェイアイ傷害火災)
それによると、以下の点をチェックしておくべきということが分かります。
- 28人に1人の確率で事故が発生している
- 「治療・救援費用」が半数を占める
- 1,000万円以上の高額医療費も発生しているのが現状
- 高額医療費用事故の発生は大半が65歳以上
それでは、順番に見ていきましょう。
28人に1人の確率で事故が発生している
2015年度では海外旅行中に事故に遭う確率は28人に1人というデータが出ています。事故発生率(保険金支払率)は3.6%ということですね。
これは日本での日常生活と比べると非常に高い確率と言えます。海外では衛生環境や気温、治安などが日本とは大きく異なり、さらに精神的にもストレスがかかるので適確な判断などができない場合が出てきますので、やはり日本と比べるとかなり事故発生率は高くなってしまうのです。
この3.6%を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、個人的には無視できないレベルの発生率ではないかと考えています。
「治療・救援費用」が半数を占める
上記の事故率は「保険金支払い件数」から算出しているため、病気やケガだけでなく携行品損害や航空便の欠航などの事故も含んだ上での数値となっています。
では、実際に治療費が多くかかるような「身体的な事故や病気」といった事故はどのくらいの確立で起こるのでしょうか。その他の事故の発生率も気になりますので、事故の原因トップ5を下に載せておきます。
順位 | 項目 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 治療・救援費用 | 49.0% |
2位 | 携行品損害 | 32.5% |
3位 | 旅行事故緊急費用 | 13.9% |
4位 | 個人賠償責任 | 2.6% |
5位 | 旅行中断・キャンセル | 1.2% |
※ 引用:トラブルデータ|ジェイアイ傷害火災
これを見ると「治療・救援費用」が約半数の割合と断トツで高く、次いで「携行品損害」、「旅行事故緊急費用」という順番になっています。
やはり病気やケガでの入院・手術が関係する「治療・救援費用」の割合は高いですね。確率的には全体の事故率である3.6%の半分がこれに該当する訳ですから、約1.8%の確率で病院などのお世話になるわけですね。
1.8%となると急に低い確率に感じてしまいますが、もしも海外で高額治療を受けた時のことを考えると、やはり不安が残る確率と言えなくもありません。
そんな訳で、お次は海外での高額治療の例を見てみたいと思います。
1,000万円以上の高額医療費も発生しているのが現状
「治療・救援費用の確率が1.8%なら、保険に入らなくて良いか」と考えるのはちょっと待ってください。海外旅行中の医療費は基本的に全額自己負担であり、日本に帰ってから海外療養費として請求しても、支払った額の7割が返ってくるわけではありません。
しかも、アメリカなどでは医療費が非常に高いため、保険に入っていないととても支払いきれない医療費を請求される可能性もあるのです。
実際にジェイアイ傷害火災保険株式会社のデータによると、2015年度は1,000万円以上の保険金支払額となった事故が11件発生したとのことです。
例を挙げますと
国 | 内容 | 支払保険金 |
---|---|---|
アメリカ | コンビニで買い物中に意識を失い救急車で搬送。 心不全と診断され25日間入院。 医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 2,347万円 |
アメリカ | 空港内で意識を失い救急車で搬送。 感染性心内膜炎と診断され15日間入院。 家族が駆けつける。 医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 2,295万円 |
アメリカ | 高速道路を走行中に車が横転し救急車で搬送。 全身強打による多発外傷と診断され家族が駆けつける。 | 2,113万円 |
ハワイ | 往路機内で意識を失い着陸後に救急車で搬送。 脳梗塞と診断され16日間入院。 家族が駆けつける。 医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 1,833万円 |
ハワイ | ビーチで遊泳中に溺れ救急車で搬送。 急性腎不全・溺水による呼吸不全・ 誤嚥性肺炎と診断され5日間入院。 家族が駆けつける。 | 1,564万円 |
スイス | バスルームで転倒、腰を強打し救急車で搬送。 腰椎骨折と診断され12日間入院。 家族が駆けつける。 医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 1,259万円 |
ギリシャ | パラグライダー中に墜落しヘリコプターで搬送。 胸椎・肋骨・大腿骨等骨折と診断され14日間入院・手術。 家族が駆けつける。 医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。 | 1,024万円 |
※ 参考:トラブルデータ|ジェイアイ傷害火災
上記は単なる一例ですが、このような高額医療費に繋がる事故が実際に毎年起こっているのです。この他にも数百万円単位の保険金支払金額となった事故はたくさんあります。
特にアメリカでは2,000万円を超える高額医療費になることもあるようなので、アメリカに旅行の行く場合は海外旅行保険の「治療・救援費用」を3,000万円くらいの補償金額にしておいた方が良いかと思われます。
もちろん、海外旅行保険に入った方が間違いないのは言うまでもありません。
高額医療費用事故の発生は大半が65歳以上
「治療・救援費用」の保険金支払いが300万円以上の事故のうち、65歳以上のシニア層が約半数を占めていることがデータとして出ています。
私自身は「無茶をするのは若者の方だから、若い方が事故率が多いんじゃないかな・・」と思っていたので、このデータはちょっと意外でした。最近はアクティブなシニア層が増えているようで、転倒による骨折や脳疾患、心疾患、肺炎等などで治療が必要になるケースが多発しているとのことです。
※ 出典:ジェイアイ傷害火災
このことから、65歳以上の方は特に海外旅行保険の必要性が高いと言えます。
結論:出来るなら加入しておくべき
ここまで海外での事故に関するデータを見てきましたが、海外では万が一というレベルではなく、100に1つ、または数十に1つという確率で事故は起こってしまうようです。
また、治療を必要とする事故もかなり多く、しかも数百万~2,000万円という高額医療費になってしまう事故もいくつも発生しているのが現状です。
そのことから、やはり海外旅行保険は「間違いなく」入っておいた方が良いと言えるでしょう。特に65歳以上の方は必須と言えるくらい必要性は高いと思います。確かに何もなかった時を考えると保険料はもったいなく感じるものですが、そこは海外旅行の必要経費と考えて割り切った方が良いでしょう。
また、クレジットカード付帯の海外旅行保険で問題ないか?という疑問が出てきますが、1枚持っていたところでせいぜい200万円くらいしか補償してもらえませんので、一般の海外旅行保険との併用が現実的となってきます。
ただ、クレジットカードを数枚持つことでその分の補償が上乗せされるという裏ワザもありますので、多く持っていればいるほど一般の海外旅行保険の補償を抑えることができ、結果として保険料を低くできます。
クレジットカードの発行や管理の手間よりも、無料付帯の補償金額を増やすことに価値を置くという方は、1~2枚発行しておいても良いかと思います。
お勧めのカードはこちらで紹介していますので、良ければチェックしておいてください。
⇒海外旅行保険付帯のクレジットカードはこれを選ぼう!最もお勧めなカードを選んでみました
一般の海外旅行保険のお勧めはこちらのページで紹介しています。カードとの併用に利用しやすい保険も取り上げていますので、海外旅行保険選びの参考になるかと思います。
⇒人気の海外旅行保険の中でお勧めなのはこれ!
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
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