男性の保険料(月額):3,074円
女性の保険料(月額):3,150円
(30歳、終身払、診断給付金100万円)
払い込んだ保険料の使わなかった分が70歳になったら返ってくるという、一見するとかなりのメリットを感じさせるがん保険です。ですがデメリットもしっかりとあるため、そこもしっかりと押さえておく必要があります。
他のがん保険と比べてもかなり特殊な内容になっているため、掛け捨てがとても嫌な方など、気に入る人はかなり好きになる可能性を持っている商品です。ただ、他と比べて保障内容が特別優れているという訳ではありませんので、過信するのは禁物です。
押さえておきたい注目ポイント
東京海上日動あんしん生命の「がん診断保険R」の大まかな特徴をサッと知りたいという人向けに、押さえておきたい要点だけをピックアップしました。
- 解約返戻金があるため、全くの掛け捨てという訳ではない
- がん診断・治療の際に給付金・一時金が支払われる
- 保険料は加入時のまま、途中で上がることはない(ただし、先進医療が10年更新のため、この分の保険料は上がる可能性がある)
- 70歳までなら実質0円
- 生涯で一度もがんにならなかったらお得
- がんになった場合、他のがん保険の方がお得になるケースが多い
- 70歳になっても特約の分の保険料は返ってこない
- インフレの事が考慮されていない
- がん先進医療特約が10年更新のため、値上げする可能性も
- 各種医療サービスが無料で受けられる
以下、詳しい説明に入りますので、興味がある方は読み進めてもらえればと思います。
がん診断保険Rの詳細
月払保険料の例
・保険(払込)期間:終身払
・診断給付金:100万円
・悪性新生物初回診断特約付
・抗がん剤治療特約付
契約年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20歳 | 2,155円 | 2,442円 |
30歳 | 3,074円 | 3,150円 |
40歳 | 4,545円 | 3,565円 |
50歳 | 6,876円 | 3,900円 |
※ 上の表は2018年5月現在の保険料です。
保険料は高めに設定されていますが、そもそもこの保険は保障内容がかなり特殊なので、保険料では良し悪しが決められないのが現状です。
保障内容
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | 【がん保険】 ・がん診断・治療の際に給付金・一時金が支払われる ・解約返戻金があるため、全くの掛け捨てという訳ではない ・保険料は加入時のまま、途中で上がることはない(先進医療特約は上がる可能性がある) |
契約可能年齢 | 0歳~50歳 |
保険期間と 保険料払込期間 | 保険期間:終身(一部の特約は10年更新) 保険料払込期間:終身払 |
特約 | 【悪性新生物初回診断特約】 初めてがん(悪性新生物)と診断確定されたときに保障される(1回のみ) |
【がん入院特約】 がん(悪性新生物・上皮内新生物)治療のため、所定の入院をされたときに保障される | |
【がん手術特約】 がん(悪性新生物・上皮内新生物)治療のため、所定の手術・放射線治療を受けられたときの保障される | |
【抗がん剤治療特約】 がん(悪性新生物・上皮内新生物)治療のため、所定の抗がん剤治療を受けられたときに保障される | |
【がん通院特約】 がん(悪性新生物・上皮内新生物)治療のため、所定の通院をされたときに保障される | |
【がん先進医療特約】 がん治療のため、所定の先進医療を受けられたとき、先進医療にかかわる技術料を保障 | |
払込回数 | 月払、半年払、年払 (支払いはまとめた方が少しお得に) |
払込方法 | ・口座振替 ・クレジットカード払 |
保険料の 払込免除 | なし |
保障プラン
項目 | 200万円 | 100万円 |
---|---|---|
保険料 ・30歳男女 ・終身払 ・悪性新生物初回診断特約 ・抗がん剤治療特約 | 男性:7,278円 女性:7,517円 | 4,204円 女性:4,367円 |
【主契約】 診断給付金 (2年に1回を限度に何回でもOK) (上皮内新生物は1回限り) | 1回200万円 | 1回100万円 |
【主契約】 健康還付給付金 (診断給付金の受取りがない場合) | 3,024,000円 | 1,512,000円 |
【特約】 悪性新生物初回診断保険金 (初回のみ) (上皮内新生物を除く) | 1回100万円 | |
【特約】 抗がん剤治療給付金 | 1ヶ月ごと10万円 |
この保険は良いのか悪いのか、結局どっちなの?
がん診断保険Rは70歳になった時点で、それまでに払い込んだ保険料が返ってくるという特殊な方法を取っている保険です。東京海上日動あんしん生命ではメディカルKit Rで同じような保障内容を取り扱っていますが、他のがん保険と比べるとかなり異質な存在になっているのは間違いありません。
それゆえ、「他のがん保険と比べるのが難しい」「この保険は選ぶ価値があるのか?」という意見や疑問を抱いている方も多いかと思います。
個人的な意見で言うと、この保険は「他のがん保険と比べるとお得になるケースよりも損になるケースの方が多いため、総合的に見ると選ぶ必要性は少ない」と思っています。
その理由を含め、この保険のメリットとデメリットを探っていきたいと思います。
【得なケース.1】70歳までなら実質0円
この保険では70歳の時点でこれまで払い込んだ保険料がそのまま返ってきます。もし70歳になるまでにがんになり、診断給付金を貰っている場合は、その分を差し引いた金額を受け取ることができるようになっています。
【30歳男性、診断給付金100万円、特約無しの場合】
項目 | 70歳までの 総払込保険料 | 支払われた 診断給付金 | 70歳の時に受け取れる 健康還付給付金 |
---|---|---|---|
がんにならなかった場合 | 1,475,520円 | 0円 | 1,475,520円 |
1回がんになった場合 | 1,475,520円 | 1,000,000円 | 475,520円 |
2回がんになった場合 | 1,475,520円 | 2,000,000円 | 0円 |
このように、70歳までの時点なら基本的に損することがないのです。しかも2回以上がんになった場合、支払った保険料の総額よりも多くの給付金を受け取ることができます。
ただし、これはあくまで70歳までのことです。基本的に払込期間は終身まで保険料を支払い続けるという選択肢しかなく、70歳以降はもうお金が戻ってくることもないため、長生きすればするほど一番損をする保険になる可能性が高くなります。
【得なケース.2】生涯で一度もがんにならなかったらお得
もしも生涯で一度もがんにならなかった場合、他のがん保険と比べると無駄になる保険料が少ないです。似たような保障内容のFWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」と比べてみるとよく分かります。
【30歳男性、診断給付金100万円、終身払、特約無しの場合】
項目 | 新がんベスト・ゴールドα | がん診断保険R |
---|---|---|
月額保険料 | 1,562円 | 3,074円 |
70歳の時の 総支払保険料 | 749,760円 | 実質0円 |
75歳の時の 総支払保険料 | 843,480円 | 184,440円 |
80歳の時の 総支払保険料 | 937,200円 | 368,880円 |
90歳の時の 総支払保険料 | 1,124,640円 | 737,760円 |
もしも「がんにならなかった時の掛け捨てを最小限にしたい!」という場合は、この保険は最も有力な候補に挙がるだろうと思います。
ただし、「がんにならなかった場合を想定した時に一番お得ながん保険」が人生で本当に必要なのかどうかは個人の好みの問題になってくるでしょう。(一意見ですが、私はあまり必要ないと思ってます・・)
【損なケース.1】がんになった場合、他のがん保険の方がお得になるケースが多い
他のがん保険の場合は「がんになった時に以後の保険料の払込が免除になる」という特約(または主契約)があるため、その保障が付いている限りがん(主に悪性新生物)になった時点で以後の保険料が免除されます。
そしてこのがん診断保険Rでは「がんになった時の保険料払込免除特約」を付けることができません。つまり、がんになろうがなるまいが一生保険料を払い続けなければいけないのです。
その結果、もしもがんになった場合は他のがん保険の方がお得になるケースが多いのです。再度、似たような保障内容のFWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」と比べてみましょう。
ちなみに、新がんベスト・ゴールドαには基本保障内に「がん(悪性新生物)になった時の保険料払込免除」があります。
【30歳男性、診断給付金100万円、終身払、特約無しの場合】
項目 | がんベスト・ゴールドα (手元に残る金額) | がん診断保険R (手元に残る金額) |
---|---|---|
月額保険料 | 1,562円 | 3,074円 |
50歳でがんになり、 80歳まで生きた場合 | +625,120円 | -368,880円 |
60歳でがんになり、 80歳まで生きた場合 | +437,680円 | -368,880円 |
70歳でがんになり、 80歳まで生きた場合 | +250,240円 | -368,880円 |
80歳でがんになり、 90歳まで生きた場合 | +62,800円 | +262,240円 |
70歳までにがんになった場合、上の表を見るとがん診断保険Rの方がかなり損をすることになります。これは今回比較対象となった新がんベスト・ゴールドαに限らず、「がんになった時の保険料払込免除」を用意しているがん保険であれば同じような結果になると思われます。
ただし、80歳でがんになった場合はがん診断保険Rの方がお得というケースもありますので、損になるかどうかは状況次第ということになります。
【損なケース.2】70歳になっても特約の分の保険料は返ってこない
がん診断保険Rでは「払い込んだ保険料の使わなかった分が返ってくる」というのが大きな特徴となっており、どの保険情報サイトでも真っ先に取り上げられています。
ですが、この返ってくる金額というのはあくまでの主契約(診断給付金)の保険料の分であり、実は特約を付けて上乗せした分は返ってこないのです。
具体的に数字で説明します。分かりやすくするため、がんにならなかった場合を想定しています。
【30歳男性、診断給付金100万円、終身払】
・特約は「悪性新生物初回診断特約」と「抗がん剤治療特約」
項目 | 70歳までの 総支払保険料 | 70歳の時に受け取れる 健康還付給付金 | 差額 |
---|---|---|---|
主契約のみ | 1,475,520円 | 1,475,520円 | ±0円 |
特約を付けた場合 | 1,475,520円 | 2,017,920円 | -542,400円 |
表を見ると分かりますが、実は「悪性新生物初回診断特約」と「抗がん剤治療特約」を付けた場合、70歳になっても約54万円が返ってこないことになります。特約分は健康還付給付金として返ってこないのです。
もし特約分も全額返ってくると思い込んで契約した場合、後々トラブルになってもこちらの言い分を通すことは難しいと思います。
また、ここは非常に重要なことであるにも関わらず、公式サイトでは少ししか触れていないのもちょっと不親切かなと思えます。今初めて気付いたという方も少なくないと思われますので、この時点でしっかりと覚えておいてください。
【損なケース.3】インフレの事が考慮されていない
払い込んだ保険料の使わなかった分が戻ってくるがん診断保険Rですが、インフレには全く対応してません。日本は今後インフレをしていくという政策なのは明らかなため、もしも大幅なインフレが起きてしまった場合はかなり損をすることになるのです。
具体的には、がんにならずに70歳になった場合は150万円が返ってくる契約をした場合、今から数十年後は150万円が現在の100万円くらい(もしくはそれ以下)の価値にしかなっていない可能性があります。その場合は50万円の損失になってしまいます。
がんにならなかったら全額返ってくるはずなのに、なぜか50万円も損になっている・・
そんな悪い可能性も秘めているがん保険なので、ここは残念としか言えません。
保険料分を自分で資産運用に回した方がインフレによる値上がりに対応できるようになるため、この保険で将来の返金を期待するよりもiDeCo(イデコ)やつみたてNISAで自分年金用の資産運用を開始することをお勧めします。
【損なケース.4】がん先進医療特約が10年更新のため、値上げする可能性も
先進医療特約が10年更新になっているのが痛いです。
仮に10年後は先進医療を受けれる環境がどんどん増えているという状況になった場合、現在は100円前後で済んでいた先進医療保険料が数倍になってしまうことも考えられます。
ほとんどの他のがん保険の場合はガン先進医療給付金は終身契約ができますが、がん診断保険Rに関しては10年更新となっているため、状況次第では大幅な値上がりという怖い事態になってしまうかも知れません・・。
その他のチェックポイント
各種医療サービスが無料で受けられる
この保険に加入すると、以下の各種医療サービスが無料で受けられるようになります。
- メディカルアシスト
- 緊急医療相談/一般の健康相談
- 予約制専門医相談
- がん専用相談窓口
- 医療機関案内
- 転院・患者移送手配
- 人間ドック・脳ドック、がんPET健診優待サービス
- がんお悩み訪問健康サービス
- 介護お悩み電話相談サービス
メディカルアシストは24時間365日サポートしてくれており、いつでも電話で相談することが出来ます。また、がんと宣告されたときに相談できる「訪問相談サービス」も利用することができます。
管理人の最終評価
がんにならなかった時に損をしないという特徴を持っているため、掛け捨てがどうしても嫌という方には向いていると思います。70歳までなら基本的に損をすることがなく、もしもがんになった場合は払込保険料の総額よりも多くの給付金が貰えるようになるので。
ただし、基本的にこの商品は他のがん保険とは仕組みがかなり異なるため、良いと感じるか悪いと感じるかは本当にその人次第になるでしょう。
それを踏まえて個人の意見を言うならば、私は「がんにならなかった場合を想定した時に一番お得ながん保険」をあまり必要としておらず、さらにがん先進医療特約が10年更新となっている、保険料払込免除特約が付けられないなどの点もかなり気になるため、あまりお勧めとは思っていません。
ただ、人によって評価が分かれる面白い保険なのは間違いないので、興味がある方は資料をじっくり読んでみることをお勧めします。
がん保険をお探しの方はこちらのがん保険 おすすめの比較と評価ランキングのページがお役に立てると思います。
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
保険契約を検討される際には、契約概要を必ずご確認下さい。
保険を探している方はこちらへどうぞ
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こんにちは。とても参考になるサイトで何度か活用させていただいています。
まだ保険について理解しきれていない部分があり教えていただきたいのですが、
がん診断保険Rの損をするパターンに記載があった、インフレ時の返戻金について、
「このがん保険に払う分を貯蓄に回した方がいいと言われても仕方がないです」
という部分は、銀行口座に貯蓄という意味でしょうか?この貯蓄だとどちらにしてもインフレの影響を受けて価値が下がる意味ではおなじなのかなぁと思いまして。。。
違う意味での貯蓄性の何か得策があれば、そちらも教えていただきたいです。
宜しくお願い致します。
まるぼうずさん
コメントありがとうございます。
ご指摘の件ですが、確かにこれは貯蓄という言葉だとおかしいですね・・。
おっしゃる通り、銀行口座に預けておく場合は、同じように価値が下がっていきますから。
間違った言葉を使ってしまい、大変申し訳ありませんでした。完全に見落としていました・・。
この場合、正しくは「自分で資産運用する」ということですね。イデコやつみたてNISAなどを利用して投資をしていく方が、返ってくる系の保険や銀行へ預けているよりも効率的に増やしていけるかと思います。
ただし、必ず増えるといった確証はありませんので、投資は自己責任でお願いします。