男性の保険料(月額):3,004円
女性の保険料(月額):3,349円
(30歳、入院日額5,000円、終身払、健康還付給付金の受取り年齢:70歳、先進医療特約付き)
2013年の日経優秀製品・サービス賞・優秀賞を受賞している医療保険です。各種医療サービスが無料で受けられたり、解約返戻金があるなど、他の医療保険ではあまり見ることがない特徴を持っています。
そして他の医療保険と最も大きく異なる点が、「保険料が掛け捨てではなく、所定の年齢(60歳~80歳)に達した時に払い込んだ保険料が健康還付給付金という形で戻ってくる」というところです。ただし、途中で入院給金を貰った分は差し引かれてしまいます。
この健康還付金のおかげで一見すると非常にお得なように見える商品ですが、保険料払込期間が「終身払」のみなので、長生きすればするほど保険料を支払うことになります。なので、長生きしすぎるとどこかの年齢の時点で他の医療保険よりも多くの保険料を払うことになるため、健康還付金があるからと言っても必ず他よりも得になるという訳ではありません。契約の際はそこのところも忘れずに考慮しておく必要があります。
追記
2018年8月に商品が改定され、以前はなかった3大疾病入院支払日数無制限特約を付けれるようになったため、長期入院にも備えられるようになりました。また、保険料払込免除特則も付けることが出来るようになりました。
押さえておきたい注目ポイント
東京海上日動あんしん生命の医療保険「メディカルキット R」の大まかな特徴をサッと知りたいという人向けに、押さえておきたい要点だけをピックアップしました。
- 所定の年齢(60歳~80歳)までに払った保険料が全額還ってくる
- 各種医療サービスが無料で受けられる
- 女性特有の病気(乳がんなど)の際に手厚く保障してくれる特約も用意されている
- 役立つ特約が用意されている
【デメリット・注意点】
- 保険料払込期間が「終身払」だけなので、長生きすればするほど保険料を払うことに
- 先進医療特約が10年更新のため、値上がりする可能性がある
- 貯金とほぼ変わらず、資産運用のチャンスを逃している
以下、詳しい説明に入りますので、興味がある方は読み進めてもらえればと思います。
メディカルキットRの詳細
月払保険料の例
・保険(払込)期間:終身払
・入院保険日額:5,000円
・健康還付給付金の受取り年齢:70歳
・先進医療特約付き
契約年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20歳 | 2,244円 | 2,719円 |
30歳 | 3,004円 | 3,349円 |
40歳 | 4,239円 | 4,164円 |
50歳 | 5,524円 | 4,854円 |
※ 上の表は2018年8月現在の保険料です。
保険料は高いですが、将来的には払い込んだ保険料分がそのままリターンで還ってくるので、保険料が安めの他の医療保険とそれほど変わらない感じになります。
保障内容
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | 【医療保険】 ・病気やケガで入院したとき、約款所定の手術を受けたときなどに保険金が支払われる ・保険料は掛け捨てではなく、所定の年齢に達した時に払い込んだ保険料が戻ってくる ・保険料は加入時のまま、途中で上がることはない |
契約可能年齢 | 0歳~60歳 |
入院日額 | 5,000円、7,000円、10,000円 |
入院した場合の支払い日数制限 | 1入院60日、通算1095日まで保障 (2015年11月2日から通算日数が変わりました) |
保険期間と 保険料払込期間 | 保険期間:終身 保険料払込期間:終身 |
健康還付給付金の支払対象年齢 | 0~40歳で契約:60歳または70歳 41~50歳で契約:70歳 51~55歳で契約:75歳 56~60歳で契約:80歳 |
主契約 | 【疾病・災害入院給付金】 病気や不慮の事故によるケガで所定の入院をされたとき、給付金が支払われる (1入院60日、通算1,095日限度) |
【手術給付金・放射線治療給付金】 病気やケガで公的医療保険制度の給付対象である所定の手術・放射線治療を受けられたとき、給付金が支払われる | |
【健康還付給付金】 被保険者が健康還付給付金支払日に生存しているとき、健康還付給付金が支払われる (お支払いする給付金額 = 主契約の既払込保険料相当額 - 主契約の入院給付金等の合計額) | |
主な特約 | 【健康還付特則】 この保険の目玉となっている特則。被保険者が健康還付給付支払日に生存しているとき、それまでに払い込みをした保険料からそれまでに受け取った入院給付金等を差し引いた金額を受け取れる |
【特定疾病保険料払込免除特則】 悪性新生物(がん)と診断確定されたとき、または心疾患・脳血管疾患で所定の手術または継続20日以上の入院治療を受けたとき、以後の保険料の払込が免除される | |
【3大疾病入院支払日数無制限特約】 がん、心疾患、脳血管疾患により所定の入院をした場合、入院支払日数が無制限になる | |
【通院特約】 主契約の入院給付金が支払われる入院をした場合、所定の条件の範囲内で通院が保障される | |
【先進医療特約】 公的医療保険制度における先進医療を所定の施設で受けたとき、先進医療にかかわる技術料を通算2,000万円まで受け取れる(保険期間・保険料払込期間は10年) | |
【5疾病就業不能特約】 5疾病(悪性新生物(がん)、急性心筋梗塞、脳卒中、肝硬変、慢性腎不全)で所定の就業不能状態になったとき、就業不能給付金100万円を受け取れる | |
【女性疾病保障特約】 ・女性特有の所定の疾病で入院したとき、主契約の疾病入院給付金に上乗せしてこの特約の入院給付金を受け取れる ・乳がんで乳房を切除し、乳房再建手術を受けたとき、乳房再建給付金を一時金で受け取れる | |
【がん診断特約】 がんと診断確定されたとき、一時金として診断給付金を受け取れる。再発や転移、新たながんなど2回目以降の診断確定でも2年に1度を限度に支払われる | |
【悪性新生物初回診断特約】 保険期間中に初めて悪性新生物(がん)と診断確定されたとき、一時金として診断保険金を受け取れる | |
【がん通院特約】 がんにより所定の入院をし、かつ所定の通院をしたときに保障される | |
【抗がん剤治療特約】 がんの治療を目的として、公的医療保険制度の給付対象である抗がん剤治療を月に1回以上受けられたとき、受けられた月ごとに治療給付金を受け取れる | |
払込回数 | 月払、年払 |
払込方法 | ・口座振替 ・クレジットカード払 |
保険料の 払込免除 | ・主契約の責任開始期以後の疾病または傷害を直接の原因として、所定の高度障害状態になったとき ・主契約の責任開始期以後に発生した不慮の事故を直接の原因として、その事故の日からその日を含めて180日以内に所定の身体障害の状態になったとき |
非喫煙者割引 | なし |
保障プラン
項目 | 5,000円タイプ | 10,000円タイプ |
---|---|---|
保険料 | 男性:3,004円 女性:3,349円 | 男性:5,894円 女性:6,584円 |
入院給付金 (日帰り入院から) | 1日につき 5,000円 | 1日につき 10,000円 |
手術給付金 放射線治療給付金 | 1回につき 入院中:5万円 外来:2.5万円 | 1回につき 入院中:10万円 外来:5万円 |
先進医療 給付金 | 先進医療にかかる技術料と同額(通算2,000万円限度) |
メリット部分
所定の年齢(60歳~80歳)までに払った保険料が全額還ってくる
メディカルキットRの保障内容を見たことがある方なら分かると思いますが、この保険は他の医療保険とは明らかに違う点があります。
それは、所定の年齢までに払った保険料が健康還付給付金という形で全額戻ってくるという形を採用しているからです。一見すると「え?どういうこと??」と疑問を持ってしまう人も大勢いると思いますが、これは事実なのです。
例えば、30歳男性で入院日額5,000円タイプ、健康還付給付金の受取り年齢を60歳にした場合、60歳までに支払う保険料の総額は1,175,400円になりますが、この額が60歳の時にそっくりそのまま私たちに戻ってくるのです。
ただし、途中で入院給付金を貰った分は差し引かれた状態になっています。例えば60歳までに入院給付金40万円を受け取っていた場合、60歳の時点で775,400円が貰えることになるのです(1,175,400円-400,000円=775,400円)。
つまり、健康還付給付金の受取り年齢(60~80歳)に達した時点ではプラスマイナスゼロの状態になっているので、全く損をしていないということになります。これが「メディカルKit R」の一番のメリット部分となっているのです。
ただし、これはかなり嬉しいメリット部分ではありますが、当然ながらそう上手い具合にいくはずがありません。保険会社も商売なので、どちらか一方が全然得にならないような仕組みを作るはずがありません。
そう、この保険で注意しなければいけないのは「終身払い」しかないという点にあります。終身払いは自分が死ぬまで保険料を払い続ける支払い方法です。契約を解除でもしない限り、一生涯払い続けるという性質があります。
なので、60歳で健康還付給付金を貰った後にすぐに死んだ場合はかなりお得な状態で医療保険に加入していたことになるので凄くお得な感じになりますが、そう都合よく亡くなることはあまりありませんので、そこから長生きした分だけ保険料を払い続けることになるのです。
そしてメディカルKit Rの保険料は、他の医療保険よりも高めに設定されているので、どこかの年齢の時にメディカルKit Rの方が支払い保険料の総額が高くなってしまうということになってしまうのです。
分かりやすく解説するために、保険料が安い上に注目度が高い「メディフィットA」と比較してみたいと思います。保障内容は出来るだけ似せています。
【年齢別、支払保険料総額表】
・30歳男性
・基本保障で契約
・入院給付日額5,000円
・メディフィットAは60歳払済
・メディカルKit Rの健康還付給付金の受取り年齢は60歳
メディフィットA (60歳払済) | メディカルKit R (受け取り年齢60歳) | |
---|---|---|
月々の保険料 | 2,045円 | 3,265円 |
60歳までの 払込保険料 | 736,200円 | 実質0円 |
70歳までの 払込保険料 | 736,200円 | 391,800円 |
79歳までの 払込保険料 | 736,200円 | 744,420円 (ここで超えてしまう) |
80歳までの 払込保険料 | 736,200円 | 783,600円 |
90歳までの 払込保険料 | 736,200円 | 1,175,400円 |
表のように、長生きするとある年齢を境にメディカルキットRの方が保険料が高くなってしまい、その後はどんどんと保険料を支払い続けていくことになります。
払った保険料が全額還ってくるって凄いな!!とパット見は思ってしまいますが、「保険って上手く作られているんだなぁ・・」と改めて思わせてくれる商品だということですね。
なので、あまり意味のない言い方で言わせてもらうと「長生きしないと予想するならメディカルKit Rを、長生きするつもりなら他の保険の方がいい」ということになります。ただこれは何歳まで生きるかなんて誰も分からないことなので、メディカルKit Rを選ぶかどうかは保険料以外の「保障内容」で選んだ方がいいかもしれませんね。
そして保障内容で見る限り、他の保険と比べてそこまで強いメリット部分は現在のところは特にありませんので、「ここじゃないと駄目!」ということにはならないと思います。
「健康還付給付金の受取り年齢」を60歳じゃなくて70歳にすればいいんじゃないの?と思う方も多いと思います。これは確かに有効な方法だとは思いますが、健康還付給付金の受取り年齢前に死亡した場合(または解約した場合)は健康還付給付金を受け取ることは出来ず、代わりに解約返戻金を貰うことになっていますが、払込保険料総額の半分程度かそれ以下になってしまうので、確実にお得な方法と言う訳ではないのです。
各種医療サービスが無料で受けられる
メディカルキットRに加入すると、以下の各種医療サービスが無料で受けられるようになります。
- メディカルアシスト
- 緊急医療相談/一般の健康相談
- 予約制専門医相談
- がん専用相談窓口
- 医療機関案内
- 転院・患者移送手配
- 人間ドック・脳ドック、がんPET健診優待サービス
- がんお悩み訪問健康サービス
- 介護お悩み電話相談サービス
メディカルアシストは24時間365日サポートしてくれており、いつでも電話で相談することが出来ます。他のサービスも無料とは思えないほど充実していますので、ここはメディカルKit Rの大きなメリット部分と言えるでしょう。
女性特有の病気(乳がんなど)の際に手厚く保障してくれる特約も用意されている
女性特有の所定の病気(乳がんなど)によって入院したときに給付金が上乗せされる「女性疾病保障特約」が用意されています。
また、乳がんで乳房を切除し、乳房再建手術を受けられたとき、乳房再建給付金を一時金で貰えることも注目です。
役立つ特約が用意されている
2018年8月の商品改定により、付加できる特約が増えました。特に3大疾病入院支払日数無制限特約と特定疾病保険料払込免除特則を付けられるようになったのが大きいです。
3大疾病入院支払日数 無制限特約 | がん、心疾患、脳血管疾患により所定の入院をした場合、入院支払日数が無制限になる |
---|---|
特定疾病保険料払込免除特則 | 以下に該当したとき、将来の保険料の払込が免除される。 ・悪性新生物(がん)と診断確定されたとき ・心疾患・脳血管疾患で所定の手術または継続20日以上の入院治療を受けたとき |
以前はこれらの特約がなかったため、長期入院には対応できない、重大な病気になっても保険料の払込免除がないという状況でしたが、現在はそれらが用意されているため、保険商品としてはかなり魅力が上がっています。
デメリット部分
保険料払込期間が「終身払」だけなので、長生きすればするほど保険料を払うことに
上のメリット部分でも解説していますが、メディカルKit Rは所定の年齢までに払った保険料が健康還付給付金という形で全額戻ってくるという仕組みなので、かなりメリットがあるように感じます。
ですが、例えば60歳で健康還付給付金を受け取った場合、その後も生涯ずっと保険料を払い続けていくので、ある歳を境に他の医療保険よりも割高になっていきます。
一応、早く死亡した場合はお得であるのは間違いないのですが、長生きした場合を考えると「選ぶ基準が難しい保険だな・・」と思わざるを得ません。
詳しくは上記のメリット部分に書いていますので、まだ読んでいない方はチェックしてみてください。
先進医療特約が10年更新のため、値上がりする可能性がある
基本保障に含まれている「先進医療特約」は、先進医療による療養を受けたときに給付金が支払われるという非常に役立つ特約です。
ですが、メディカルKit Rの先進医療給付特約は10年更新となっており、更新後の保険料が変わる場合があります。つまり、値上がりする可能性もあるのです。
出来れば値上がりなんてして欲しくないところですが、元々そのような保障内容なので、これはしょうがないとしか言えません・・。
貯金とほぼ変わらず、資産運用のチャンスを逃している
この保険は自分が支払った保険料をそっくりそのまま返してもらうという形になっているため、結局は貯金とほぼ変わらないことになります。
そのため、その分を確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に回した場合を考慮すると、この保険に加入することで資産運用の機会を無くしているということにもなります。
これに関してはソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」のところで詳しく書いていますので、良ければ参考にしてみてください。
管理人の最終評価
メディアによっては高い評価がされていることもある保険ですが、人によって感じる価値が異なるであろう医療保険です。
個人的には「結局は貯金とほぼ変わらず、資産運用のチャンスを逃してしまう」「先進医療特約が10年更新」「終身払しかない」という時点であまりお勧めとは言えないかなと思っています。
ただし、60歳までの場合は実質的な保険料が0円に抑えられるため、終身の長期保障を求めていない方(ある程度の貯金がある方)の場合は「損をしない医療保険」として検討の価値はあるかと思います。
ちなみに、終身保障を求めていたり、他に良い医療保険が出た際に乗り換えることを狙っている場合は、この保険は向いていません。
医療保険をお探しの方はこちらの医療保険 おすすめの比較と評価ランキングのページがお役に立てると思います。
この保険に加入中の方、見積もりを既にもらっている方
この記事を読んでいる方の中には、保険会社の担当営業や保険ショップの担当者から、この保険の設計書(見積もり)を既にもらっていて、「この保険に決めて本当にいいのだろうか・・・?!」と懐疑的になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あるいは、既にこの保険を契約したものの、「なんか違う気がする・・・」「間違えたかも・・・」と不安になっている方もいらっしゃるのでは。
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この保険を資料請求する方、気になっている方
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自分たちの必要保障分を見極め、保険料とのバランスを取ることが、この保険を選ぶうえで重要になるでしょう。
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この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
保険契約を検討される際には、契約概要を必ずご確認下さい。
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