男性の保険料(月額):3,620円
女性の保険料(月額):4,100円
(30歳、終身払、入院日額5,000円、120日型、健康還付金支払年齢:70歳)
ソニー生命の医療保険です。
保障内容は同会社のメディカル・ベネフィットとほぼ同じですが、リターンの方は「払い込んだ保険料が還ってくる」という大きな特長を持っています。
払い込んだ分が戻ってくるため、保険料は掛け捨てではない・・という点に多くの方が魅力を感じるでしょうが、この商品を検討する際は表面上のメリットだけでなく、深く知ることで判明するデメリットも把握した上で決めるのが良いかと思います。
ちなみに、個人的にはそれほどお勧めとは思っていません。参考までに・・。
押さえておきたい注目ポイント
ソニー生命の医療保険「メディカル・ベネフィット リターン」の大まかな特徴をサッと知りたいという人向けに、押さえておきたい要点だけをピックアップしました。
- 所定の年齢(50歳~80歳)までに払った保険料が全額還ってくる
- 健康を保とうという気になる
- 解約返戻金があるため、他の保険に乗り換えしやすい
- 他のメリットはメディカル・ベネフィットとほぼ同じ
【デメリット・注意点】
- 長生きすればするほど他の医療保険よりも高くついてしまう
- 結局は貯金とほぼ変わらないため、資産運用のチャンスを逃して損をすることに繋がる
- 保険料が分かりにくいため、詳細を知りたい場合は保険相談サービスを利用しよう
以下、詳しい説明に入りますので、興味がある方は読み進めてもらえればと思います。
メディカル・ベネフィット リターンの詳細
月払保険料の例
・保険(払込)期間:終身払
・入院給付金日額:5,000円
・1入院の支払限度:120日
・健康還付給付金支払年齢:70歳
契約年齢 | 男性の保険料 | 女性の保険料 |
---|---|---|
30歳 | 3,620円 | 4,100円 |
40歳 | 5,345円 | 4,960円 |
50歳 | 7,180円 | 6,105円 |
※ 上の表は2018年7月現在の保険料です。
健康還付給付金があるので、基本的な保険料はかなり高めとなっています。
保障内容
項目 | 内容 |
---|---|
契約可能年齢 | 男性:3歳~56歳 女性:3歳~59歳 |
入院日額 | 3,000円~20,000円 |
入院した場合の支払い日数制限 | 1入院:60日型・120日型・360日型から選択可能 通算:1,000日 (三大疾病による入院は無制限) |
保険期間と 保険料払込期間 | 保険期間:終身 保険料払込期間:終身払 |
健康還付給付金 支払年齢 | 50歳~80歳(年齢により制限アリ) |
主契約 | 【疾病・三疾病・災害入院給付金】 病気やケガで1日以上入院したとき、給付金が支払われる (1入院60日・120日・360日、通算1,000日限度) (三大疾病は無制限) |
【手術給付金】 公的医療保険制度対象の手術、または先進医療に該当する手術を受けたとき、給付金が支払われる | |
【放射線治療給付金】 公的医療制度対象の放射線治療、または先進医療に該当する放射線治療等を受けたとき、給付金が支払われる (入院給付金日額×20、60日に1回限度) | |
【骨髄移植給付金】 公的医療保険制度対象の骨髄移植術を受けたとき、給付金が支払われる (入院給付金日額×20) | |
【骨髄ドナー給付金】 責任開始期から1年経過後に骨髄幹細胞採取手術を受けたとき、給付金が支払われる (入院給付金日額×20) | |
【健康還付給付金】 健康還付給付金支払日を生存してむかえたとき、健康還付給付金が支払われる | |
【死亡給付金】 健康還付給付金支払日の前日までに死亡したとき、責任準備金額が支払われる | |
追加できる特約 | 【特定疾病診断給付金特約】 特定疾病で所定の状態と診断された場合、一時金が支払われる (1回のみ) |
【入院一時給付金特約】 主契約の入院給付金を支払われる入院をしたとき、入院一時給付金が支払われる (三疾病による入院は2倍の金額に) (支払回数は無制限) | |
【三疾病入院給付特約】 三疾病により入院したときに、主契約に上乗せして給付金が支払われる (支払限度日数は無制限) | |
【先進医療特約】 先進医療による療養を受けたとき、先進医療にかかる技術料を同額を保障してくれる (通算2,000万円限度) | |
【女性特定手術給付特約】 乳房・子宮・卵巣などの女性特定部位に対し手術をしたときに、主契約に上乗せして手術給付金が支払われる (乳房再建術を受けたときも対象) | |
【抗がん剤治療特約】 所定の抗がん剤による治療を受けたとき、抗がん剤治療給付金が支払われる (1ヶ月に1回、通算120ヶ月限度) | |
払込回数 | 月払、半年払、年払 |
払込方法 | ・口座振替 ・クレジットカード払 |
保険料の 払込免除 | 被保険者が病気・ケガにより所定の高度障害状態になったときや、不慮の事故により事故日から180日以内に所定の身体障害の状態になったときは、以後の保険料の払込が不要になる |
公式サイト、パンフレット | メディカル・ベネフィット リターンのパンフレット|ソニー生命 |
メリット部分
所定の年齢(50歳~80歳)までに払った保険料が全額還ってくる
ソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」は他の医療保険とは大きく異なる点があります。
それは「所定の年齢までに払った保険料が健康還付給付金という形で全額戻ってくる」という、通常の医療保険とは全く異なる形を取っていることです。
例えば35歳の時に加入して、65歳の時に健康還付給付金を受け取る設定にした場合、30年間で支払った保険料(約166万円)が全額還ってくるというものです。
この点だけを見るなら掛け捨てではないと取れるため、多くの方の興味を引く保障内容となっています。このような還付給付金の形式を取っている医療保険は他にもあり、代表的なもので東京海上日動あんしん生命の「メディカルKit R」がありますが、やはり多くの方が興味を持ち、実際に加入している傾向にあります。
ですが実質的には掛け捨ての保険とは言えない部分がありますので、この保険を検討する際はその点もしっかりと把握しておく必要があります。これについてはデメリット部分で色々と解説していますので、興味がある方はチェックしておくてださい。
また、途中で入院や手術をして給付があった場合、その給付分は健康還付給付金から差し引かれてしまうという点は注意しておいてください。例えば入院と手術をして合計で40万円の給付金を受け取っていた場合、先ほどの年齢設定で計算すると健康還付金は128万円(166万円―40万円=128万円)しか受け取れないことになります。
それと、メディカル・ベネフィット リターンには終身払しかありません。健康還付給付金を貰った後も保険料を払い続けることになります。それだけなら通常の医療保険と変わらないのですが、メディカル・ベネフィット リターンは他の医療保険よりも保険料が高めに設定されているため、長生きすればするほど他の医療保険より負担が大きくなってしまうのです。
それらの点についてもデメリット部分で解説していますので、この保険を検討する際はメリット部分だけでなく、しっかりとデメリット部分も把握することが大切かと思います
健康を保とうという気になる
メディカル・ベネフィット リターンは入院や手術をして給付金を受け取ってしまうと、50歳~80歳の間で受け取ることが出来る健康還付給付金が少なくなるという特徴があります。
そのため、健康還付給付金を出来るだけ多く貰いたい方は、余計な入院を避けるために健康的な生活を送るようにしようと考えることでしょう。
このように「健康を考えるきっかけ」をわずかでも与えてくれる内容をしているのは、他の医療保険にはないメリットと言えるのではないでしょうか。
解約返戻金があるため、他の保険に乗り換えしやすい
基本的に医療保険は年々保障内容が良くなっています。これは昔と今の保障を比べてみれば分かりますが、昔の内容の薄さにビックリしてしまうほどです。
そのため、数年~数十年経ったら最新の医療保険に見直してもらうという方法も有効だったりするのですが、この保険に関しては他の医療保険と異なり、途中解約すると払込保険料の6割~7割くらいの解約返戻金を受け取ることができるようになっています。
メディカル・ベネフィット リターンはそもそも基本的な保険料が高めに設定されているのですが、解約返戻金がかなり多く貰えるため、その分を考慮すると他の医療保険よりも気軽に解約しやすいということになります。
結果として、他の医療保険に乗り換えしやすいのですね。
ただし、この方法はあくまでも最初から乗り換えを前提としてメディカル・ベネフィット リターンに加入するなら良しとする方法です。この保険はずっと続けていくのをためらってしまうデメリットがありますので、見直し・乗り換えが面倒だという方は最初からお勧めの医療保険に加入することをお勧めします。
⇒医療保険 おすすめの比較と評価ランキング
その他のメリット
この商品の主契約は、同じソニー生命の医療保険であるメディカル・ベネフィットとほぼ同じとなっています。
そのため、上記以外のメリットを詳しく知りたいという方はメディカル・ベネフィットの解説ページを確認いただければと思います。
また、このページでは出来るだけ簡単にメリット部分を解説していきますので、お時間がない方や他のページに飛びたくない方はこのまま読み進めてください。
メリット部分をまとめると、以下の2つになります
- 長期の放射線治療にも備えられる
- 手術・放射線治療が先進医療に該当する場合も給付金が受け取れる
【簡単な解説】
基本保障に放射線治療給付金、骨髄移植給付金、骨髄ドナー給付金が付いています。
中でも放射線治療はガン治療に代表される治療法となっていますので、この部分について主契約で保障してくれるのはありがたいです。
放射線治療をずっと続けた場合、2カ月に1回は10万円(入院給付金日額5,000円の場合)が給付されることになりますので、経済的にはかなりの助けになるかと思います。
また、主契約の手術給付金と放射線治療給付金に関しては、通常の公的医療保険制度対象の手術・放射線治療だけでなく、先進医療に該当する手術・放射線治療に関しても給付金が受け取れるようになっています。
他に医療保険ではこの部分は公的医療保険制度(いわゆる健康保険のこと)に限定されている場合がほとんどですので、高額治療になりがちな先進医療に該当する治療を受けた場合も保障してくれるというのはありがたいと言えるでしょう。
デメリット部分
長生きすればするほど他の医療保険よりも高くついてしまう
メディカル・ベネフィット リターンの保険料は、他の医療保険と比べるとかなり高めに設定されています。
そのため、健康還付給付金を受け取った時点ではプラスマイナス0円になっていたとしても、それよりも長い目で見た場合は他の医療保険よりも多くの保険料を支払うという結果になってしまう可能性を持っているのです。
分かりやすく解説するために、ほぼ保障内容が同じである「ソニー生命のメディカル・ベネフィット(健康還付給付金なし)」と比較してみたいと思います。
【年齢別、支払保険料総額表】
・35歳男性
・基本保障で契約
・入院給付日額5,000円
・1入院の支払限度:120日
・終身払
・健康還付給付金の受取り年齢は65歳
メディカル・ベネフィット | メディカル・ベネフィット リターン | |
---|---|---|
月々の保険料 | 2,025円 | 4,610円 |
65歳までの 払込保険料 | 729,000円 | 実質0円 |
75歳までの 払込保険料 | 972,000円 | 553,200円 |
85歳までの 払込保険料 | 1,215,000円 | 1,106,400円 |
89歳までの 払込保険料 | 1,312,200円 | 1,327,680円 (ここで超えてしまう) |
90歳までの 払込保険料 | 1,336,500円 | 1,383,000円 |
表のように、長生きするとある年齢を境にメディカル・ベネフィット リターンの方が保険料が高くなってしまい、その後はどんどんとその差が広がっていくことになります。
また、上の表では89歳の時点でメディカル・ベネフィット リターンの方が保険料が高くなってしまうことになっていますが、他のもっと安い医療保険の方を終身払ではなく65歳払済などにした場合はもっと早い段階で抜かれてしまいます。
このように、長期の医療保障が欲しい場合は結局のところ保険料が高くついてしまう商品となっています。医療保険を検討する方は「長生きしたい!」と考える方も多いと思いますが、残念ながらその目的とあまり合致していない商品と言えるのです。
また、健康還付給付金を受け取ったらすぐに解約すれば良いと考える方もいると思いますが、その場合は貯金しておくのとほとんど変わらないことになります。逆にイデコや積立投資をしておいた方が結果的にお得になってくれますが、そのチャンスを逃すことにもなるので注意してください。
「健康還付給付金の受取り年齢」を遅く(75歳や80歳に)すればいいんじゃないの?と思う方も多いと思います。これは確かに有効な方法だとは思いますが、健康還付給付金の受取り年齢前に死亡した場合(または解約した場合)は健康還付給付金を受け取ることは出来ず、代わりに解約返戻金を貰うことになっていますが、払込保険料総額の6割~7割程度になってしまうので、確実にお得な方法と言う訳ではないのです。
結局は貯金とほぼ変わらないため、資産運用のチャンスを逃して損をすることに繋がる
この保険は結局のところ、自分が支払った保険料をそっくりそのまま返してもらうという形になっています。
途中で入院したり手術したりして給付金を受け取ったとしても、結局は受け取った金額は健康還付給付金から引かれてしまいますので、自分のお財布から出した治療費だけがマイナスとして残ることになります。
そうなのです、結局は貯金しておくのと変わらないことになるのですね。
だとすると、その分を確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に回すことで掛金全額が所得控除されますので、断然お得な結果を生み出してくれることでしょう。
また、すでにイデコに満額で加入している方は、ロボアドバイザーで簡単に資産運用できるウェルスナビ(WealthNavi)を活用して資産を増やしていくのも良いかと思います。ただ、ウェルスナビは投資(イデコもですが)なので、確実に増えるということは断言できないですが・・。
このように、資産運用できるチャンスを棒に振って、メディカル・ベネフィット リターンに投資してしまっていると見ることも出来るのです。
また、そもそも世界も日本も少しずつインフレしていく傾向にあります。今はかなりの不景気と言われている日本ですが、今後はゆるやかにインフレしていく傾向にあると言われていますので、30年前に設定した金額をそのまま貰ったとしても、実質的には損をしていることになります。
例えば、今から1年で1%ずつインフレになった場合、30年後には今の価値の135%くらいになっている計算になります。今の100万円が135万円の価値になるわけです。
ですが、メディカル・ベネフィット リターンで保険料100万円を払って30年後に受け取る金額が100万円だとした場合、35万円分を損していることになるのです。
イデコに回せば上手く運用できたものが、そのまま塩漬けになってしまって結局は損をしてしまう・・そんなことにならないよう、どこにお金を回すのが良いのかをじっくりと考える必要があるかと思います。
確かにこの保険は健康還付給付金を受け取った後も保障は終身で残ってくれるので投資商品と比較することは出来ませんが、これに関しては長生きすると高い確率で他の医療保険の方が支払保険料を安く済ませられるという結果になります。
そのため、長期目線で医療保障を検討する際も、他の医療保険の方が利用しやすいです。
保険料が分かりにくいため、詳細を知りたい場合は保険相談サービスを利用しよう
メディカル・ベネフィット リターンの公式ページに用意されているパンフレットを見ても、肝心の保険料がほんの少ししか載っていません。また、保険料シュミレーターも用意されていませんので、自分の希望する条件での保険料がいくらになるのか、気軽に知ることが出来ないのが現状です。
そのため、ソニー生命のメディカル・ベネフィット リターンを真剣に検討したいという方は是非とも保険相談サービスの利用も考えてみてください。
ソニー生命が提供する保険相談に申し込んでも良いとは思うのですが、基本的にソニー生命の保険しか紹介してくれないですし、高い確率で他の保障もお勧めされると思います。それがイヤであれば、無料で利用できる保険相談サービスを使った方が良いでしょう。
保険相談サービスであれば商品内容について詳しく聞けますし、多数の保険会社を取り扱っているので他の商品との返戻率比較も出来ますので、自分に合ったベストの商品を探すことが出来ます。他の商品と比較したい場合は保険相談サービスを利用しましょう。
ちなみに、管理人お勧めの保険相談サービスは「保険見直しラボ」です。この会社は他の無料保険相談サービスと比べてもワンランク上(もしくはそれ以上)のメリットを提示してくれているため、現状では最も利用する価値のあるサービスだと思います。
ソニー生命もしっかりと扱っていますので、良ければチェックしておくことをお勧めします。
⇒保険見直しラボのメリットとデメリット、無料相談前の注意点など
管理人の最終評価
個人的な意見ですが、これに加入するなら他のお勧め医療保険+イデコ(またはウェルスナビなどの投資)に回した方が良いかと思います。または医療保険には何も入らず、イデコや投資で資産運用する方が良いでしょう。
医療保険をお探しの方はこちらの医療保険 おすすめの比較と評価ランキングのページがお役に立てると思います。
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
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