医療保険に加入する際、「女性疾病特約に入るべきかどうか?」は多くの女性の方にとって悩むポイントとなっています。

これは、保険の営業員から「女性特有の病気への備えは必要です!」と言われることがとても多いということが一因となっています。ですが、ネットや書籍を見てみると「女性疾病特約(または女性向け医療保険)」はいらない、入らなくて良い!と言っているケースもかなり多いです。

では、実際のところはどうなのでしょうか。これは人によって解釈が異なるところとなっていますが、個人的な見解を述べるならば、「女性保険・特約は特に必要はないが、限定的になら入ってもいいと思える場合がある」というところに落ち着いています。

どういうことか?それを以下に簡単に解説してみたいと思います。

あくまで私個人の意見となりますが、女性疾病特約(または女性向け医療保険)を付けようかどうか迷っている方の参考になれば嬉しいです。

スポンサーリンク




女性疾病特約って何?

まず初めに「女性疾病特約とは何か」について簡単に解説しておきます。すでに知っている方はこの項目は飛ばしてもらって大丈夫です。

女性疾病特約を簡単に言うと、女性特有の病気(乳がん、子宮筋腫など)で入院したときに給付金が上乗せされて支払われるため、通常の保障よりも手厚くなる特約の事です。

女性特有の病気はたくさんなりますが、代表的なものとしては以下の病気があります。

乳がん
子宮がん
子宮筋腫
卵巣のう腫
バセドウ病
橋本病
子宮内膜症
卵巣機能障害
異常分娩(帝王切開など)
※ 対象となる病気に関しては約款などで要確認

これらの女性特有の病気で入院した際、もし通常の保障が入院日額5,000円であるとしたらさらに5,000円が上乗せされ、計10,000円の保障として受け取ることが出来ます。

かなり簡単な説明になりますが、これが女性疾病特約です。また、女性保険も同じような内容となっています(もちろん会社によって保障内容は変わります)。

女性疾病特約が必要だと思えない理由

お次にこのページの核となる「何故女性疾病特約がいらないと思うか」の部分を掘り下げて解説します。

女性疾病特約を付けるならがん特約に入るか、もしくはがん保険に入った方が良い

基本的に女性疾病とはいえ、他の病気と比べて特に治療費が掛かるとか、治療期間が長くなるということではありません。もしあまりにも治療費が高額になる場合は高額療養費制度があるため、基本的には通常の医療保険で十分対応可能です。

問題になるのはやはり乳がんや子宮頸がん、卵巣がんなどの「がん(悪性新生物)」です。日本人の死因としてはやはりがんがトップですし、女性特有の乳がんや子宮頸がんは30代での発症が増えており、40代ではかなり多くなっています。転移・再発の心配もありますし、長期の治療になる可能性も十分考えられます。

その点を見ると「やはり万が一のがんへの備えとして、若いうちから女性疾病特約は必要なんじゃないか」と考えてしまうかも知れませんが、その結論は早いです。何故なら、基本的に女性疾病特約は入院時に給付金が上乗せされるだけであり、通院に対応している訳ではないのです(手術も対応していない場合が多いです)。

そして現在はがんによる入院日数が昔よりもかなり短くなっており、20日を切るという状況になっています。反対に通院で治療するケースが増えており、今後さらにその傾向は強くなると言われています。

つまり、もしも子宮頸がんで20日入院したとしても、特約の入院日額が5,000円だった場合は10万円しか上乗せしてもらえないのです。特約を付けた分だけ保険料を高くしているのに、いざという時に特約の保険金は10万円しか貰えません。その後は何日通院しようが、この特約では全く保障されないことになります。

ハッキリ言って、これって必要だと思えるでしょうか?

それであれば、女性疾病特約を付けるよりも「がん診断特約」を付けた方が断然良いと思います。がん診断特約を付けることで、がんと診断されたときに50万円~100万円(契約により異なる)という大きな金額が貰えるため、入院だろうが通院だろうが関係なく対応できることになります。

現状ではがん治療は長期に渡った場合は大きなお金がかかってしまうため、診断給付金として50万円(できれば100万円は欲しいですが)を貰える方が自由に治療費の足しに出来るため、こちらの方が圧倒的にありがたいと言えます。

確かにがん診断特約の方が女性疾病特約を付けるよりも保険料は高くなりますが、それは少しの差です(30歳女性で200円くらいの差)。経済的にどちらかしか付けれない・・という状況の場合、個人的にはこの差であれば間違いなくがん診断特約を付けることを選ぶでしょう。

また、医療保険にがん診断特約を付けるのも良いですが、もし予算に余裕があれば医療保険とがん保険の2本立てにしてしまうというのもお勧めです。これで病気(女性疾病を含む)に関してはかなり備えることができます。

もしくは医療保険に入らず、がん保険のみに絞って契約するというのもありです。

ここでは詳しくは言いませんが、個人的には医療保険よりもがん保険の方が必要性が高いと思っています。そのため、がん保険のみに入るという選択肢も十分アリかなと判断しています。もちろん、がん保険は乳がんや子宮頸がんなどの女性特有のがんもしっかりと保障されます。

このようにがん診断特約、またはがん保険を視野に入れると、わざわざ女性特約で入院した場合だけ給付金が支払われる女性疾病特約を、保険料を上乗せしてまで付ける必要はどのくらいあるのか?という疑問が湧きあがってきてしまうのです。

乳房再建術は健康保険の対象となるケースが増えている

乳がんの治療で手術を受けた場合、乳房再建術を希望する方も多いです。そして女性保険の中には「乳房再建術は高額ですが、こちらは50万円~100万円の保険金を出しますよ!」と謳っている商品もあります。

ここで疑問になるのが「乳房再建術は健康保険の適用外なの?」というところだと思いますが、乳房再建術は2013年にインプラント(シリコンなど)による乳房再建術も保険適用になるようになり、保険が効くケースがぐっと増えています。

そのため、健康保険制度の一つである高額療養費制度のおかげで、いくら高い治療費が掛かったとしても1ヶ月での最大医療費は8万円+α(大体9万円以下)で済むようになっているのです。これなら通常の医療保険か、もしくは貯蓄で十分に対応可能となるので、わざわざ女性保険に入る必要は特にないと言えるのです。

ただし、乳房再建術は手術によっては保険がきかないケースもあるため、もしも「全ての手術に対して備えたい」という希望がある場合は女性保険も検討するのも良いかと思います。

ちなみに医療保険に付ける形の「女性疾病特約」は入院が主な保障内容になっているため、付けたい場合は手術に対応しているかどうか、乳房再建術も保障内容かどうかを確認しておくと良いでしょう。

帝王切開も健康保険の対象となる

帝王切開も基本的に健康保険の対象となるため、通常の医療保険もしくは貯蓄で十分対応可能です。わざわざ女性疾病特約を付けたり、女性保険に入る必要はありません。

また、帝王切開は緊急入院となった後に手術されるケースも多くあり、その場合に差額ベッド代が発生する病室に入院させられることがあります。ですが病院の一般ベッドが足りていないから・・などの病院側の都合で差額ベッドを利用することになった場合、こちらが了承しない限りは差額ベッド代は払わなくて良いということになっています。なので差額ベッド代についても保険で備えておく必要はありません。

ただし、実際はこちらのページで解説している通り、病院によっては差額ベッド代を請求してくるケースが多々あるようです。これに関しては解決は難しいところではあるのですが、このページで書かれている「然るべきところ」に相談するのが良いのではないかと思われます。

女性疾病特約を付けても良いと思えるケース

限定的に入院日額を増やしたい場合

医療保険の入院日額は1万円にすると保険料が高くなりますが、日額5,000円なら保険料はそれほど高くありません。なので、経済状況が厳しい場合は入院日額5,000円で加入を検討する人も多いと思います。

ですが、将来的に見ると日本はインフレの方針を取っているので、日額が5,000円だと足りない状況になってしまうという状況もかなり考えられます。

ただ、入院日額1万円にするとけっこう保険料が高くなるから厳しいな・・という場合に、女性疾病特約を付けることで女性に多い病気での入院の場合は5,000円がプラスされ、日額1万円にすることができるのです。

これなら保険料の増加も抑えることができ、限定的にですが入院日額1万円を確保することができます。月々の保険料を出来るだけ減らしたいけど、入院日額1万円はやはり魅力だ・・という場合はこの方法も検討してみるのもいいと思います。

妊娠を考えている場合

妊娠中・出産時は子宮を原因とした疾病が起こる可能性がとても高まります。また、出産に関しては今や5人に1人が帝王切開の可能性があると言われていますので、その時期だけは女性疾病特約や女性保険の必要性が飛躍的に高まります。

ただし、妊娠が発覚してから医療保険に加入しても子宮を原因とした疾病は対象外になってしまいますので、子供が欲しいと考えている時点で加入を検討しておく必要があります。

これに関しては別ページで詳しくまとめていますので、興味がある方はチェックしてみてください。
妊娠前に医療保険に加入しておくことのメリットと、妊娠後に加入する場合のデメリットを解説

まとめ

妊娠中や出産時には非常に役に立ってくれますが、その時期以外は基本的には医療保険に女性疾病特約を付けたり、または女性保険に加入する必要性は低いと思っています。

個人的には女性特有の病気に備えるには「医療保険+がん診断特約」の方が断然良いと思えますし、乳がんや子宮頸がんを含めたがん全般に不安を感じる場合は「がん保険」にだけ入るという選択もお勧めです。

もしも女性疾病特約を付けようとしていたり、保険会社の営業員から女性保険への加入をお勧めされたという場合は、本当に自分に必要なのかどうかをよくよく検討してから加入するかどうかを決めるのがいいと思います。

この記事を書いた人

taka
taka
当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索していますので、興味がある方はLINEの方でご質問を。ラーメン、焼肉、テニス好き。

保険契約を検討される際には、契約概要を必ずご確認下さい。

保険を探している方はこちらへどうぞ


スポンサーリンク