がん保険に加入する際に「がん診断給付金はいくらにすべきか」「必要な特約はあるのか」「医療保険とどちらを選ぶべきか」などの疑問が出てくるかと思います。

それらの疑問は保険を契約する前に必ず解決しておくべきです。このページではがん保険の選び方、そして加入する際に迷うであろう疑問点をピックアップして簡潔に答えを出していますので、保険相談を受けた後、またはがん保険に加入する前の最終確認として出来れば読んでおいてもらえれば幸いです。

このページの中身

がん保険はホントに必要?

がん保険を選ぶ前にまず知っておきたいのが「がん保険の必要性は高いのかどうか」という点です。特に医療保険との比較は永遠のテーマとなっています。

医療保険とがん保険、優先して入るならどっちが良いか

医療保険とがん保険の両方に興味があるけど、2つ入る余裕はあまりないから、どちらに加入しようか迷っている・・という方も多いかと思います。

これは色々なところで議論されている問題であり、FPによって考え方は違ってきます。

管理人takaの意見としては、医療保険とがん保険のどちらか一つしか契約しない場合は、がん保険を選ぶのが良いかと考えています。

何故かというと、がん保険は医療保険よりも「保険」として理にかなっている仕組みになっているからです。がん保険は「がんのみ」という範囲の狭さではありますが、万が一の際に貰える給付金はがん保険の方が断然多く、長期のガン治療を受けた際に経済的に大きな助けになってくれるのです。

一方、医療保険はがん保険よりも対象となる病気はとても広いですが、もらえる給付金額はかなり少ないです。それに高額療養費制度や傷病手当金の制度もあることから、通常の病気やケガの場合は貯蓄で何とかなるのが現状です。

そのため、「保険」として備えておくのであれば、現在はがん保険の方が万が一の際に大きく役立ってくれるため、どちらか一つを選ぶのであれば私はがん保険の方をお勧めしています。

詳しくお話しすると長くなってしまいますので、もっと詳しく知りたい方は以下のページをご覧いただけたらと思います。

保障内容はどうするべきか

がん保険の選ぶ際に実際に悩むであろうポイントをまとめています。がん保険の選び方を知るために、ここはチェックしておきたいところです。

定期型と終身型はどちらを選ぶべきか

がん保険には定期型と終身型があり、これらは保障期間が異なります。

定期型は一定期間(現在は5年ごとの商品が多い)を保障するタイプのもので、その期間が満了したら終了か更新かを選べます。基本的には80歳~90歳くらいまで自動更新するパターンが多いですが、更新ごとに保険料が高くなるため、その点に注意が必要です。

終身型とは、文字通り一生涯を通じて保障が継続するというタイプのものです。保険料の払込期間は終身払か有期払かを選ぶことができます。契約者が死亡すると保障が終了となります。

タイプ保険料保障期間
定期型更新ごとに高くなる
(5年更新の商品が多い)
長くても90歳くらいまで
終身型加入時のまま変わらない一生涯

がん保険を選ぶ際、定期型と終身型のどちらにすべきか?と悩む方も多くいますが、個人的には終身型を選ぶのが良いかと思っています。

がんは50歳くらいまではかなり発症率は低い(2%~5%くらい)のですが、それ以降になると年々発症率が高くなっていき、最終的には2人に1人がかかる病気とも言われるほど高い発症率となります。

そのため、がん治療に備えたい場合は50歳以降も継続して保障が続いている状態が望ましいです。

また、老後は医療費の自己負担がさらに少なくなってくれます(70歳からは2割、75歳からは1割負担になる)し、高額療養費制度のおかげで一定額以上の治療費はかからないようになっていますが、それでもがんの治療は長引くことが多くあり、その場合は自己負担額も徐々に積み重なってきてしまい、最終的にかなりの経済的負担になってしまう可能性があります。

さらに先進医療や自由診療を受けた場合は数百万円という治療費を自費で払わないといけなくなるため、がんになる可能性が高くなる老後こそがん保険が必要だと言えます。

そのため、個人的にはがん保険は終身型で選ぶのが良いかと思っています。

ただし、定期型も絶対ダメという訳ではありません。定期型は10年や20年くらいの保障期間の場合は保険料がとても安いため、子供が大きくなるまでを備えられればそれでいいという意見をお持ちの方にかなり向いています。

また、終身型のがん保険に加入しているけど、子供が大きくなるまで、または年金を貰いだすまではもっとがん保障を厚くしたい!という方は、定期型のがん保険と併用するという方法もあります。

基本的には終身型にしておけば間違いないですが、自分の状況次第では定期型も選択の価値はあるかと思います。

がん診断給付金(一時金)はいくらにすべきか

がん保険は医療保険と違い、がんと診断されたら50万円~150万円が貰える「がん診断給付金(一時金)」をメインの保障としている商品が多いです。

そのため、がん保険に加入する際に「がん診断給付金をいくらにするのが良いか?」と悩む人もたくさんいるかと思います。

これについては特に正解がないため、適切な金額を決めるのはかなり難しいのですが、個人的には100万円を基準としておくのが良いかと思っています。

がんの治療費は人によって大きく異なりますが、割合的には1年間でかかった治療費は50万円~100万円と答えた人が多く、次いで100万円~200万円との回答が多いです。

平均で大体100万円前後というデータもあるため、がん診断給付金を100万円にしておくと安心感が強くなるかと思います。

ただ、家計がかなり厳しくてがん診断給付金100万円の保険料を払うのが厳しい・・という場合は、もちろん50万円にしておくと良いでしょう。反対に、もっと保険料を上げても大丈夫という家庭であれば150万円くらいにしておき、備えを万全に近い状態にしておくというのもアリかと思います。

がん診断給付金は2回目以降の支払条件が重要

がん診断給付金(一時金)は商品によって支払条件が変わってきます。

基本的には、給付金の支払いが「2年に1回限度で、回数無制限」となっているのが一般的です。これより悪い条件のところはほとんどないですが、もし興味を持っている商品がそれより条件が悪かったら加入しない方が良いでしょう。

また、2年に1回限度という支払条件になっている場合、初回は大体「がんと診断確定されたとき」となっているので問題ないのですが、2回目以降の支払条件も診断確定でOKとなっているところは少ないです。

実はがん保険の中には、2回目以降は「がんの治療目的で入院したとき」が支払条件となっているところも多くあるのです。この場合、通院したとしても条件を満たすことができず、給付金は支払われません。

最近は医学の進歩により、抗がん剤治療や放射線治療は通院で行われることも多くなっています。そのため、「入院したとき」のみを2回目以降の支払条件にしているところは選ばない方が無難と言えるのです。

そのため、がん診断給付金の2回目以降の支払条件としては「入院または通院をしたとき」か、「診断確定されたとき」となっているところを選ぶのが良いかと思います。出来れば「診断確定されたとき」が条件になっているのが良いですが、そのような好条件の商品は少ないため、「入院または通院」を条件としているところでもいい商品であれば選んで良いかと思っています。

付けておくべき特約は?

がん保険は主契約に「がん診断給付金」や「放射線・抗がん剤治療給付金」を用意しているところが多くあります。

そのような商品は主契約だけで保障が充実しているため、無理して特約を付けなくても満足度の高い内容となっています。

ですが、一つだけ「これは付けておいた方が良い!」と言える特約があります。それは「先進医療特約」です。

先進医療特約は付加しても月々100円前後しか保険料がかからないという安さですが、万が一先進医療を行った際は実際にかかった技術料を2,000万円まで保障してくれるという優れた特約となっています。

先進医療はお世話になる確率こそ非常に低いですが、実際に治療を受けた場合は健康保険がきかないため、数十万円~数百万円もの高い治療費が全額自己負担となってしまうのです。

ですが、先進医療特約を付加しておくことで、実際にかかった先進医療の治療費を2,000万円までなら全て保障してくれるのです。そのため、がん保険に加入する場合はこの特約は出来れば付けておくことをお勧めします。とても重要な特約となっていますので、付けておいて損はないかと思います。

ちなみにがん保険の場合、「がん先進医療特約」が用意されている商品が多いです。この特約は通常の先進医療特約とは違い、がんの先進医療にかかった治療費のみが保障の対象となっています。全ての先進医療が保障対象になるわけではないのですね。

ですが、治療費が特に高い陽子線治療と重粒子線治療(治療費:250万円~300万円)は両方ともがん治療に該当するため、興味があるがん保険が「がん先進医療特約」となっていた場合でも、やはり付加しておくことをお勧めします。

何歳から加入するのがベストか

がん保険にいつ加入しようか迷う方も多いかと思います。遅くにした方が余計な保険料を払わなくて済むと考えてしまいますし、若いうちはまだがんにかかるはずがない・・と思ってしまうからですね。

ですが、がん保険は「興味を持った今」加入を検討しておくことをお勧めします。

何故かというと、まず第一に遅く加入した方が保険料が高くなるからです。これは「年齢が高い方が月々の保険料が高くなるからであって、支払う総額は遅く加入した方が安いはずだよね?」と思ってしまいがちですが、実は遅く加入した方が保険料の支払総額もかなり高くなってしまうのです。

例えばオリックス生命の「Believe(ビリーブ)」の場合、30歳からの加入で60歳払済にした場合と、50歳から加入して60歳払済にした場合とでは、30歳から加入した方が保険料の支払総額はかなり安く済むのです。

具体的には、30歳から加入すると支払総額が約167万円なのに対し、50歳から加入した場合の保険料の支払総額は約245万円にまで高くなってしまうのです。

これは30歳から加入する場合の約1.5倍も多く払っていることになります。早く入った方が保険料総額も安いし、その間も保障はあるしで、これだけで遅く入る理由はなくなってしまいます。

また、がんは若いうちは発症率がとても低いとはいえ、かからない訳ではありません。特に女性は特有のリスクがあるため、若いうちは男性よりも発症率は高い傾向にあります。

そして、もしがん保険に加入する前にがんになってしまった場合、通常のがん保険に加入することは出来なくなってしまいます。入れたとしても、保険料が高くて保障内容がイマイチな引受基準緩和型(限定告知型)という選択肢しか残っていません。

それであれば、がん保険を検討している「今」入っておいた方が良いと個人的には考えています。加入しようかどうか迷っているけど、将来的にがん保険には入ろうと考えている方は今のうちに加入しておいた方が良いかと思います。

がん保険を契約する際に知っておきたい予備知識

がん経験者はがん保険に加入できないのか

過去にがんになったことがある人は「もうがん保険には入れないのではないか・・」と思っている方も多いかと思います。

ですが、そんなことはありません。すでにがんになったことがある方でも加入できるよう審査基準が緩和された「引受基準緩和型(限定告知型)」のがん保険も2つほど用意されています。がん経験者だからこそがん保険の大切さは身に染みて理解していると思いますので、少ないながらも用意されているのはありがたいと言えますね。

ただし、引受基準緩和型のがん保険は他のがん保険と比べると保障内容が物足りなくなっており、さらに保険料が割高になっているというデメリットも併せ持っています。

そのため、誰にでもお勧めできるものではないのですが、がん保険に入ることで精神的な安定が望めそうなのであれば検討の価値は十分にあるかと思います。

ちなみに、がん経験者でも加入できるのは以下の2商品です。

アフラックの「生きるためのがん保険 寄りそうDays(デイズ)」

がん(悪性新生物)の治療が完治してから5年経過しており、さらにその他の健康状態など諸条件を満たしていれば加入することができます。

主契約は入院・通院・手術・放射線治療の4つです。がん診断給付金は残念ながら用意されていません。保険料は普通のがん保険と比べて高めです。

この商品について、さらに詳しい解説はこちらをご覧ください。
アフラックの「生きるためのがん保険 寄りそうDays(デイズ)」のメリットとデメリット、申込み前の注意点など

セコム損保の「自由診療保険メディコムワン」

乳がんを経験した女性が加入できるがん保険です。他にも経過年数や年齢などの諸条件はありますが、クリアすれば加入することができます。

罹患部位としては乳がんのみと限定的ですが、通常のがん保険に加入できない女性経験者にとっては検討すべきがん保険のひとつでしょう。

5年の更新ごとに保険料が高くなるのが痛いですが、健康保険の3割負担分だけでなく、健康保険が適用されない自由診療や先進医療の治療費も補償してくれるがん保険です。高額治療にも備えられるという特徴を持っており、出費がかさむ長期入院にもかなり役立ってくれます。

この商品について、さらに詳しい解説はこちらをご覧ください。
セコム損保のがん保険「自由診療保険メディコムワン」のメリットとデメリット、申込み前の注意点など

給付金が支払われないケースを知っておこう

がん保険は他の保険と違い、加入しているにも関わらず給付金が支払われないケースがあります。

あとから「支払われないなんて聞いていない!」とならないために、がん保険が支払われないケースやその理由をチェックしておきましょう。

具体的には以下のケースでは給付金が支払われませんので、覚えておくと良いでしょう。

ケース.1 がん保険に加入して90日以内の場合

がん保険には90日間の支払猶予期間が設けられています。これにより、責任開始日から90日間(およそ3ヵ月間)は「がんが見つかっても給付金は支払いませんよ」という保障の空白期間となっているのです。

加入する前にすでにがんを発症していた場合に備え、保険会社が給付金を払わないようにしておくための制度なのですが、基本的にどのがん保険にもこの90日の支払猶予期間は設けられているため、これに関しては忘れないようにしましょう。

ケース.2 上皮内新生物が対象外になっている場合

がんは大きく分類すると以下の2つに分けられます。

ステージが進行した悪性新生物(悪性がん)
転移する心配のない初期の上皮内新生物(上皮内がん)

通常のがん保険のパンフレットなどに書かれているがんでは悪性新生物のことを指すことが一般的で、初期のがんである上皮内新生物の保障に関しては保険商品ごとに扱いが異なります。

そのため、商品によっては上皮内新生物は保障の対象外となっていたり、または給付金が減額されるといったケースもあるのです。

保障の対象外になっている場合には給付金は支払われませんので、この点に関しては契約時にパンフレットや約款などで確認しておいた方が良いでしょう。

ケース.3 がん診断給付金の支払条件に当てはまらない場合

がん診断給付金はがん保険の要ともいえる保障ではありますが、商品によっては「初めてがんと診断されたときの1回のみ保障」という内容のものもあります。この場合、当然ですが2回目以降は支払われることはありません。

また、支払条件が「がん治療のために入院したとき」となっている場合、通院による放射線治療や化学療法は給付の対象とはなりませんので、この点も注意しておいてください。

給付金は課税されるのか

がん保険に加入した後、がんと診断されたり治療を受けたりすると給付金を受け取ることができます。

その給付金は課税されるのか心配される方もいます。ですが基本的にがん保険や医療保険での給付金は非課税となり、課税されることはありませんので、その点は安心してください。

介護医療保険料控除の対象になる

がん保険の保険料は、生命保険料控除の一つである「介護医療保険料控除」の対象になります。

介護医療保険料控除とは、支払った保険料に応じて所得から控除されるというお得な制度のことです。今から加入する場合は所得税は最高4万円、住民税は最高2.8万円までが年間の所得から控除されます。これは生命保険とは別に控除されます。

ちなみに、平成23年12月以前に契約したものを旧契約といい、それまでにがん保険に加入している方は最高で5万円(住民税は3.5万円)が控除されますが、旧契約の場合のみ生命保険料控除と一緒の枠になるため、他に終身保険や収入保障保険などに加入している場合はすでに枠が埋まってしまっている可能性があります。

介護医療保険料控除は所得税と住民税の減税に役立ってくれるため、がん保険に加入した際は必ず利用するようにしましょう。サラリーマンの方は会社で年末調整してくれますので、「給与所得者の保険料控除等申告書への記入」や「生命保険料控除証明書の提出」などは忘れないようにしてください。

今検討中のがん保険が正解か分からない方へ(がん保険ランキングのご紹介)

現在、加入しようと思っているがん保険が本当に正解なのか、疑問に思っている方も少なくないでしょう。

そのような方は当サイトのがん保険お勧めランキングを一度みていただけたらと思います。現役FPであり、保険の専門家でもある管理人takaが自信を持ってお勧めしているがん保険をご紹介していますので、がん保険選びで悩む方には参考になるのではないかと思っています。

がん保険選びで迷っている方は、是非ともチェックしてみてください。

保険初心者がベストな保険を探すための5つのステップ

  1. [ステップ.1] 保険は本当に必要なのか
  2. [ステップ.2] 生命保険の選び方
  3. [ステップ.3] 最新の生命保険ランキングTOP3
  4. [ステップ.4] 保険はどこから、誰から加入すべき?お勧め保険相談4選
  5. [ステップ.5] 保険相談の当日~その後に取るべき行動とは

興味があるところだけを読んでも良いですが、保険初心者の方は出来るだけステップ.1から順番に読んでもらえればと思います。

この記事を書いた人

taka
taka
当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。

保険契約を検討される際には、契約概要を必ずご確認下さい。

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