医療保険とがん保険、どちらか一つしか入れないとした場合、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
これはFPによって考えが異なりますが、個人的にはがん保険の方に優先して加入するべきではないかと考えています。
このページではその理由について解説していますので、医療保険とがん保険のどちらかを選ぶか迷っている方は是非とも参考にしてみてください。医療保険とがん保険の違いについても簡単に解説しています。
このページの中身
■目次
医療保険とがん保険の違いとは
医療保険とがん保険の具体的な違いがよく分かっていない・・という方も多いかと思います。
両保険は対応している病気の範囲と、給付金の形式が異なります。以下、一般的な医療保険とがん保険の保障内容の違いを表にしてみました。
項目 | 医療保険 | がん保険 |
---|---|---|
対象範囲 | 疾病全般、ケガ | がんのみ |
入院の支払限度日数 | あり(病気によっては無制限) | なし(無制限) |
入院給付金 | あり | あり(ない場合もある) |
手術給付金 | あり | なし |
通院給付金 | なし(特約で対応可能) | なし |
先進医療特約 | あり(2,000万円まで) | あり(がん治療のみ2,000万円まで) |
がん診断給付金 | なし(特約で対応可能) | あり |
放射線治療給付金 | なし | あり |
抗ガン剤・ホルモン剤 治療給付金 | なし | あり |
この表が全てではありませんが、大体こんな感じになります。
また、実際の商品で比べてみる場合、以下のような保障内容の違いがあります。
医療保険 月払保険料:2,741円(オリックス生命 新キュア)
項目 | 給付金額 | 支払限度 |
---|---|---|
入院給付金 | 1日につき1万円 | 1入院:60日まで 通算:1,000日まで (3大疾病は無制限) |
手術給付金 | 外来:5万円 入院中:20万円 | 回数無制限 |
先進医療特約 | 技術料と同額 | 通算2,000万円まで |
がん保険 月払保険料:2,779円(チューリッヒ生命 終身ガン治療保険プレミアムDX)
項目 | 給付金額 | 支払限度 |
---|---|---|
放射線治療給付金 | 月額10万円 | 主契約の給付金を通算して2,000万円限度 |
抗がん剤・ ホルモン剤治療給付金 | 月額10万円 | 主契約の給付金を通算して2,000万円限度 |
自由診療抗がん剤・ 自由診療ホルモン剤治療給付金 | 月額20万円 | ・主契約の給付金を通算して2,000万円限度 ・通算12ヶ月限度 |
ガン診断特約 | 1回につき100万円 | 2年に1回を限度に回数無制限 |
ガン先進医療特約 | 技術料と同額 (がん治療に限定) | ・通算2,000万円まで ・先進医療1回につき15万円 |
基本的には医療保険はどの病気でも怪我でも幅広く保障してくれますが、大きく保障してくれるわけではありません。お世話になる回数は多いですが、その分だけ給付される金額は抑えられています。数万~数十万円がせいぜいです。
対してがん保険は範囲こそがんのみと狭いですが、がん治療を行うにあたってがん診断給付金などのおかげで非常に大きな給付金を受け取ることが出来るようになっています。長期の治療ともなれば数十万円~数百万円という高額な給付金を受け取ることも可能です。
大まかにはこのような違いとなっています。
医療保険は「保険」としてはあまり理にかなっていない
FPの中にはまずは医療保険から入ることをお勧めする人もいます。がんにしか対応できないがん保険と異なり、医療保険であれば病気全般に幅広く対応できるからというのが理由です。
ですが、日本は公的保障が充実しており、医療費の3割負担をはじめ、1ヶ月間の医療費を8万円~9万円程度に抑えてくれる「高額療養費制度」、病気やケガで会社を休むと給与の2/3が支給される「傷病手当金」などがあるため、病気やケガをした際は貯蓄でなんとかなるのが現状です。
また、医療保険自体が幅広い疾病に対応しているのは良いのですが、支給される給付金はあまり多くありません。個人的には、医療保険はこの点が保険として理にかなっていないと感じています。
話は変わりますが、自動車での人身事故や自宅の火災などは数百万円~数千万、または1億を超えるような支払いが要求されることがあります。一般的な経済状態の家庭ではとても払えるものではありません。そこで役に立つのが自動車保険や火災保険なのです。
この2つの保険はお世話になる確率こそ低いものの、保険料はそれほど高くないのに万が一の際は非常に大きな助けになってくれます。このような「確率は低いけど、万が一の際は大きな助けになる」という保障こそ保険として理にかなっているのです。
死亡保険では収入保障保険や定期保険が理にかなった保険と言えます。死亡確率は低いので保険料はとても安くなりますが、万が一の際は大きな保険金を受け取ることができるからです。
では、医療保険はどうでしょうか?
幅広い疾病・ケガに備えているのは良いのですが、これではお世話になる確率が高くなるため、保険会社の選択としては必然的に保険料を高くするか、もしくは給付金を低く抑えるかという選択を取ることになります。
ほとんどの医療保険は給付金を低く抑えて保険料を安く見せている形を取っており、しかも医療の発達で入院日数は年々少なくなっていますので、病気をしても数万円~数十万円を受け取れるのがせいぜいです。
ハッキリ言って、この金額であれば支払う保険料の分を貯蓄した方が良いのではないかと思っています。個人的にはつみたてNISAなどで運用する方がよほどお勧めです。
また、重大な疾病にかかった場合でも長期入院に対応できるなら医療保険には大きな価値があるのですが、3年以上の入院には対応している医療保険はありません。
以上の事から、医療保険は保険商品としてはあまり理にかなっていないのではないかと現在は判断しています。
ただ、最近は医療保険にもがん特約があり、がん診断給付金の質も充実しています。そのため、医療保険とがん保険の両方が欲しいという場合は「医療保険+がん診断特約」という形にして、医療保険1つで済ませてしまうという手もあります。
これなら1回の契約で済ませられるため、手間もかかりません。両方の保障が欲しいという方は医療保険にがん特約を付加するという方法も検討すると良いでしょう。
がん保険は「保険」として理にかなっている
「がん保険は医療保険のついでに加入するものです」と考えているFPもいますが、個人的にはその意見にはあまり賛成ではありません。
というのも、むしろがん保険こそ相互扶助の精神に合致しており、万が一の時に大きな助けになってくれる商品と言えるのです。
がんは他の病気とは異なり、治療が長期に渡る可能性が高いです。また、重症化してしまった場合は仕事も休まざるを得なくなり、収入の減少も悩みの種になってきます。
治療費と収入減のダブルパンチを長期間にわたって受け続けるのは、経済的にかなりの大ダメージとなるのは目に見えています。
そして、がん治療は健康保険がきいた治療だけで治るという保障はなく、効果があるとされる先進医療の重粒子線治療や陽子線治療(治療費:250万円~300万円)や、厚生労働省が認可していない抗がん剤を使った自由診療などを頼る可能性もあります。
少しでも希望があるのであれば、先進医療や自由診療も頼りたくなるのが普通です。ですがこの2つの方法は健康保険がきかないので自己負担額がかなり高くなるため、数十万円~数百万円といった金額が治療費として飛んでいってしまうのです。
そう、がんの治療はかなりの経済的ダメージを受ける可能性があるのです。
そこでがん保険が役立ってくれます。がん保険は対象となる病気こそ「がんのみ」という狭さですが、万が一病気になった場合の給付金の高さは相当なものがあります。
がんと診断されたら100万円、その後は2年に1回(または1年に1回)ごとに100万円が受け取れる「がん診断給付金」を中心に、放射線治療や抗がん剤治療を受けた月は10万円~20万円の給付金が期待できる商品もあります。
放射線治療や抗がん剤治療の給付金は月ごとに受け取れるので、長期治療を受けた場合も金銭的に大きな助けになってくれることでしょう。
先進医療を受けた場合も「先進医療特約」を付けていれば技術料と同額が保障されますので、それを考慮すると合計で1,000万円を超える給付金を受け取ることもできます。医療保険と比べると、その給付金額は圧倒的に多いと言えます。
それでいて保険料は医療保険と比べてもそれほど変わりません。がん保険は「がんのみ」という範囲の狭さではありますが、それゆえに保険として理にかなっている商品設計になっているのです。
ちなみに、日本では2人に1人ががんになるというデータがあります。範囲が狭いとはいえ、定期保険や収入保障保険と比べるとお世話になる確率はぐっと高いと言えます。
医療保険とがん保険のどちらか1つしか契約しない場合、がん保険を選ぶのがお勧め
保険料の安さ、給付金の高さ、そしてお世話になる確率の高さから、個人的には医療保険よりもがん保険の方がお勧め度は高いと判断しています。
そのため、もし医療保険とがん保険のどちらを優先するか迷っているのであれば、私は「がん保険の方が良いですよ」と言いたいですね。
保険初心者がベストな保険を探すための5つのステップ
- [ステップ.1] 保険は本当に必要なのか
- [ステップ.2] 生命保険の選び方
- [ステップ.3] 最新の生命保険ランキングTOP3
- [ステップ.4] 保険はどこから、誰から加入すべき?お勧め保険相談4選
- 保険相談前に読んで欲しい「生命保険・医療保険の基礎知識」
- [4-1] 最低限の基礎知識
- [4-2] 基本的な保険用語
- [4-3] 加入してはいけないダメ保険とは
- [4-4] 必ず把握しておきたい公的保障4選
- [4-5] 医療保険とがん保険、入るならどっち? ←今ここ
- [4-6] 医療保険とがん保険のベストな組み合わせ3選
- [4-7] 保険加入を期に健康的な生活を送ろう
- [ステップ.5] 保険相談の当日~その後に取るべき行動とは
- 契約前にチェックすべき「解決すべき疑問点」
- [5-1] 定期保険の選び方と疑問点
- [5-2] 収入保障保険の選び方と疑問点
- [5-3] 終身保険の選び方と疑問点
- [5-4] 学資保険の選び方と疑問点
- [5-5] 個人年金保険の選び方と疑問点
- [5-6] 医療保険の選び方と疑問点
- [5-7] がん保険の選び方と疑問点
興味があるところだけを読んでも良いですが、保険初心者の方は出来るだけステップ.1から順番に読んでもらえればと思います。
この記事を書いた人
- taka
- 当サイト「takaの保険節約術」運営者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。骨折&手術で身をもって保険の大切さを知って以降、独学で身に付けた保険の知識を紹介するようになりました。FPから紹介された保険の見直しもやってます。保険だけでなく安定度の高い資産運用方法を常に模索しています。ラーメン、焼肉、ラケットスポーツ好き。
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